不動産登記法(全26問中3問目)

No.3

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
令和3年12月試験 問14
  1. 表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
  2. 共用部分である旨の登記がある建物について、合併の登記をすることができる。
  3. 登記官は、表示に関する登記について申請があった場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。
  4. 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。

正解 2

問題難易度
肢117.2%
肢256.3%
肢35.8%
肢420.7%

解説

  1. 正しい。新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければなりません(不動産登記法36条)。土地は建物のように頻繁に発生するわけではありませんが、埋立てや干拓による新規取得や、国有地の払下げなどで表題登記のない土地の取得などをした場合には、表題登記が義務付けられています。
    新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
    新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。H26-14-2
  2. [誤り]。合併の登記とは、別々の登記記録である数個の建物を、物理的な変更なしに登記上1個の建物とするための登記です。以下の建物については合併の登記をすることができません(不動産登記法56条)。
    1. 共用部分(団地共用部分)である旨の登記がある建物
    2. 所有者が異なる建物
    3. 共有持分の割合が異なる共有建物
    4. 所有権の登記がない建物と所有権の登記がある建物
    5. 所有権等以外の権利に関する登記がある建物(一部を除く)
    共用部分は、区分所有者全員の共有に属しており、原則として専有部分と分離して処分することができません。仮に共用部分である建物が他の建物と一つの登記記録になった場合、専有部分が処分された際などに権利関係が非常に複雑になってしまうため、共用部分である旨の登記がある建物の合併登記はできないことになっています。
  3. 正しい。登記官は、表示に関する登記について申請があった場合や職権で登記しようとする場合、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができます(不動産登記法29条1項)。原則として、表題登記をするときには登記官の実地調査が必要とされていますが、土地家屋調査士から提出された調査報告書その他の情報で実地調査が不要と認められるときは、実地調査を省略できることになっています(不動産登記規則93条)。
    登記官は、表示に関する登記について第十八条の規定により申請があった場合及び前条の規定により職権で登記しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。
  4. 正しい。区分建物の表題登記の申請義務者は、原則としてデベロッパや分譲業者等などの原始取得者です。しかし、原始取得者が表題登記をしないまま死亡したり会社が合併消滅したりした場合には、その一般承継人が、原始取得者を表題部所有者とする表題登記を申請することができます(不動産登記法47条2項)。
    区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。
    区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。H24-14-3
したがって誤っている記述は[2]です。