債権総則(全37問中4問目)
No.4
債務者A、B、Cの3名が、令和6年7月1日に、内部的な負担部分の割合は等しいものとして合意した上で、債権者Dに対して300万円の連帯債務を負った場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。令和3年10月試験 問2
- DがAに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、BとCがDに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。
- BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。
- DがCに対して債務を免除した場合でも、特段の合意がなければ、DはAに対してもBに対しても、弁済期が到来した300万円全額の支払を請求することができる。
- AとDとの間に更改があったときは、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
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正解 2
問題難易度
肢19.0%
肢252.5%
肢315.0%
肢423.5%
肢252.5%
肢315.0%
肢423.5%
分野
科目:1 - 権利関係細目:7 - 債権総則
解説
- 正しい。連帯債務者の1人に対して生じた事由は、更改、相殺、混同を除いて他の債務者に対しても効力が生じません(別段の定めがある場合を除く)。DがAに請求をするとAの時効は完成猶予されますが、請求は相対的効力事由(相対効)なので、BとCの消滅時効には影響しません(民法441条)。
第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。
- [誤り]。ある連帯債務者が相殺できるのに援用しない場合には、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の債務者は債務の履行を拒むことができます(民法439条2項)。本問では債務が300万円で3人の負担割合は同じなので、支払請求を受けたCは、Bの負担部分「300万円÷3=100万円」について支払を拒絶することができるということです。
以前は相殺を部分的に援用できるようになっていました(旧民法436条2項)が、民法改正によりその部分の支払を拒絶できるという扱いに変更されました。前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
Cから請求を受けたBは、Aが、Cに対して有する1,000万円の債権をもって相殺しない以上、Aの負担部分についても、Bはこれをもって債務の履行を拒むことができない。(H13-4-4) - 正しい。連帯債務における免除は相対効なので、別段の定めがない限り、DのCに対する免除は、AやBに対して何ら影響を与えません。したがって、DはA・Bに対して、同時に若しくは順次に300万円全額の支払いを請求することができます(民法436条)。
債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
- 正しい。更改は、旧債務を消滅させて新しい債務を生じさせる行為で、絶対的効力事由(絶対効)です。したがって、AとDとの間でした更改により、BとCの当該債務も消滅することになります(民法438条)。
連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
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