担保物権(全31問中20問目)
No.20
担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。平成19年試験 問7
- 建物の建築工事の費用について、当該工事の施工を行った者が先取特権を行使するためには、あらかじめ、債務者である建築主との間で、先取特権の行使について合意しておく必要がある。
- 建物の賃借人が賃貸人に対して造作買取代金債権を有している場合には、造作買取代金債権は建物に関して生じた債権であるので、賃借人はその債権の弁済を受けるまで、建物を留置することができる。
- 質権は、占有の継続が第三者に対する対抗要件と定められているため、動産を目的として質権を設定することはできるが、登記を対抗要件とする不動産を目的として質権を設定することはできない。
- 借地人が所有するガソリンスタンド用店舗建物に抵当権を設定した場合、当該建物の従物である地下のタンクや洗車機が抵当権設定当時に存在していれば、抵当権の効力はこれらの従物に及ぶ。
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正解 4
問題難易度
肢16.5%
肢29.5%
肢35.5%
肢478.5%
肢29.5%
肢35.5%
肢478.5%
分野
科目:1 - 権利関係細目:6 - 担保物権
解説
- 誤り。先取特権は法定担保物権です。よって、当事者の合意(又は契約)なく、一定の要件のもと成立することとなります(民法327条)。
不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
- 誤り。留置権とは「他人の物を占有している者が、その物に関して生じた債権を有するときに、その債権の弁済を受けるまでその物を一定の場所に留めて置ける権利」です。
造作買取請求権は造作についての債権であり、建物に関して生じた債権ではないため、そのことを理由に建物を留置することはできません(最判昭29.1.14)。借家法第五条による造作買取代金債権は、造作に関して生じた債権であつて、建物に関して生じた債権ではない。
- 誤り。質権には、動産質・不動産質・権利質の3種類があります。動産だけでなく不動産にも設定することはできます(民法356条)。
不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。
- [正しい]。抵当権の効力は、抵当不動産に付加して一体となっている物に対しても及びます(民法370条)。また判例では、物理的に一体とまでは言えない物でも、抵当権設定当時に経済的に一体となっている従物であれば抵当権の効力が及ぶとしています(最判平2.4.19)。
抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。
ガソリンスタンドの店舗用建物に対する抵当権設定当時、建物内の設備と一部管によつて連通する地下タンク、ノンスペース型計量機、洗車機などの諸設備を右建物の敷地上又は地下に近接して設置し、これらを右建物に付属させて経済的に一体として右営業に使用していたなど判示の事情の下においては、右諸設備には、右建物の従物として抵当権の効力が及ぶ。
抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。(H25-5-2)
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