所有権・共有・占有権・用益物権(全34問中18問目)
No.18
相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。平成21年試験 問4
- 土地の所有者は、境界において障壁を修繕するために必要であれば、必要な範囲内で隣地を使用することができる。
- 複数の筆の他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。
- Aの隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、Aはその根を切り取ることができる。
- 異なる慣習がある場合を除き、境界線から1m未満の範囲の距離において他人の宅地を見通すことができる窓を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
広告
正解 2
問題難易度
肢16.7%
肢274.2%
肢310.5%
肢48.6%
肢274.2%
肢310.5%
肢48.6%
分野
科目:1 - 権利関係細目:5 - 所有権・共有・占有権・用益物権
解説
- 正しい。土地の所有者は、あらかじめ目的・日時・場所・方法を通知することにより、境界付近における障壁、建物その他工作物を築造、収去、修繕するために必要な範囲内で、隣地を使用することができます(民法209条1項)。
旧民法209条では、障壁・建物の築造・修繕のみが隣地使用権の対象とされていましたが、民法改正により、その他の工作物と収去についても隣地使用権が認められることが明記されました。土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。
一 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
二 境界標の調査又は境界に関する測量
三 第二百三十三条第三項の規定による枝の切取り土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量等の一定の目的のために必要な範囲内で隣地を使用することができる場合であっても、住家については、その家の居住者の承諾がなければ、当該住家に立ち入ることはできない。(R5-2-1) - [誤り]。他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができます(民法210条1項)。ただし、通行する土地は、最も損害が少ない場所を選ぶ必要があります(民法211条1項)。
本肢は「自由に選んで」としているため誤りです。他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
- 正しい。隣地の竹木の根が境界線を越えて伸びてきたときは、土地の所有者は承諾を得ずに切り取ることができます(民法233条4項)。一方、枝が境界線を越えて伸びてきた場合には、竹木の所有者による伐採が期待できない一定の場合を除き、土地の所有者が自ら切り取ることはできず、竹木の所有者に請求して切り取ってもらわないといけません(民法233条1項)。
伸びた根を切り取っても竹木の生育には影響がありませんが、伸びた枝を切ると竹木の生育に影響がでるため、このような規定になっています。隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
土地の所有者は、隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは、自らこれを切断できる。(H16-7-4) - 正しい。原則として、境界線から1m未満の範囲の距離において他人の宅地を見通すことができる窓を設ける者は、目隠しを付ける必要があります(民法235条1項)。ただし、特別の慣習がある地域はこの限りではありません(民法236条)。
境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
広告
広告