売買契約(全31問中15問目)
No.15
同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。- マンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ。
- マンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない。
- マンションの売買契約に基づく買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は、特別の事情のない限り、同時履行の関係に立つ。
平成27年試験 問8
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- なし
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正解 1
問題難易度
肢166.9%
肢219.0%
肢33.3%
肢410.8%
肢219.0%
肢33.3%
肢410.8%
分野
科目:1 - 権利関係細目:8 - 売買契約
解説
- 誤り。賃貸人の敷金返還債務は、賃借人から家屋の明渡しを受けた時に生じるため、家屋明渡債務が先履行、敷金返還債務が後履行となります(民法622条の2)。よって、賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないかぎり、同時履行の関係に立ちません。
賃貸人は、敷金(中略)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。 - 誤り。双務契約の同時履行の規定は、契約の解除における原状回復義務にも適用されます。よって、解除権の行使により契約が解除された場合の、売主の代金返還義務と買主の目的物返還債務は同時履行の関係に立ちます(民法545条1項民法546条民法533条)。
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
第五百三十三条の規定は、前条の場合について準用する。
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
①と②の契約が解除された場合、①ではBは甲建物を使用収益した利益をAに償還する必要があるのに対し、②では将来に向かって解除の効力が生じるのでAは解除までの期間の賃料をBに返還する必要はない。(R3⑫-9-1)Aの解除前に、BがCに甲土地を売却し、BからCに対する所有権移転登記がなされているときは、BのAに対する代金債務につき不履行があることをCが知っていた場合においても、Aは解除に基づく甲土地の所有権をCに対して主張できない。(H21-8-1)Bが、AB間の売買契約締結後、この土地をCに転売する契約を締結していた場合、Aは、AB間の売買契約を解除しても、Cのこの土地を取得する権利を害することはできない。(H14-8-4) - 正しい。売主は買主に対して、所有権移転登記など売買目的物の対抗要件を備えさせる義務を負っています。売買契約では、相手方が債務の履行を果たすまでは、自己の債務の履行を拒むことができるので、買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は、同時履行の関係に立ちます(民法560条民法533条)。
売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
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