宅建試験過去問題 令和6年試験 問18

問18

次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 客席部分の床面積の合計が300㎡の映画館については、第二種住居地域内において建築することはできないが、準住居地域内においては建築することができる。
  2. 特定用途誘導地区内において、都市計画で建築物の高さの最高限度が定められていたとししても、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、当該最高限度を超えてよい。
  3. 計画しようとする建築物の天空率が、道路斜線制限、隣地斜線制限又は北側斜線制限に適合する建築物の天空率未満であれば、これらの制限は適用されない。
  4. 都市計画で建蔽率の限度が80%に指定されている区域かつ防火地域内にある耐火建築物について、建蔽率の限度を超えるためには、特定行政庁による許可を得る必要がある。

正解 2

問題難易度
肢115.8%
肢251.1%
肢320.3%
肢412.8%

解説

  1. 誤り。映画館は、準住居地域(客席部分が200㎡未満に限る)、近隣商業地域、商業地域、準工業地域に限り、建築することができます。客席部分が300㎡の映画館は、第二種住居地域・準住居地域いずれも建築することができません。
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  2. [正しい]。特定用途誘導地区は、誘導施設に限定して容積率や用途規制の緩和を行う一方、それ以外の建築物については従前通りの規制を適用することにより、誘導施設を有する建築物の建築を誘導することを目的とする地域地区です。①誘導すべき用途とその用途に供する建築物の容積率の最高限度、②容積率の最低限度、③建築面積の最低限度、④建築物の高さの最高限度を定めることができます。都市計画で高さの最高限度が定められた場合であっても、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものは、高さの制限を超えることができます(建築基準法60条の3第2項)。
    特定用途誘導地区内においては、建築物の高さは、特定用途誘導地区に関する都市計画において建築物の高さの最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならない。ただし、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、この限りでない。
  3. 誤り。未満ではありません。天空率は、ある地点を中心とした天空図における空の面積の比率のことです。計画している建築物の天空率が、各種斜線制限に適合する建築物の天空率以上であれば、その斜線制限は適用されません。天空率を一定以上にすることにより、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限を代用することができます(建築基準法56条7項)。
    隣地境界線上で確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして一定の基準に適合する建築物については、法第56条第1項第2号の規定による隣地斜線制限は適用されない。H18-22-3
  4. 誤り。指定建蔽率が80%である防火地域内に耐火建築物等を建築する場合、建蔽率の制限が適用されません。特定行政庁の許可は不要で、建蔽率100%となります(建築基準法53条6項1号)。
    前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
    一 防火地域(第一項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が十分の八とされている地域に限る。)内にある耐火建築物等
    都市計画により建蔽率の限度が10分の8と定められている準工業地域においては、防火地域内にある耐火建築物については、法第53条第1項から第5項までの規定に基づく建蔽率に関する制限は適用されない。R2⑫-18-3
    建ぺい率の限度が80%とされている防火地域内にある耐火建築物については、建ぺい率による制限は適用されない。H20-20-1
したがって正しい記述は[2]です。