宅建試験過去問題 令和6年試験 問8
問8
次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。- 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
- 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
- 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
- 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
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正解 1
問題難易度
肢155.8%
肢215.8%
肢315.9%
肢412.5%
肢215.8%
肢315.9%
肢412.5%
分野
科目:1 - 権利関係細目:12 - 条文問題・その他
解説
- [正しい]。民法に存在しない規定です。民法では、意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じるものとしています(民法97条1項)。したがって、契約は承諾の意思表示が相手方に届いた時点で成立します(到達主義)。
【参考】
隔地者間の契約における承諾を発信主義とする本肢の規定は、かつて民法にありましたが、通信手段や郵便制度が発達された現代に合わせて、承諾も到達主義として取り扱われることとなったため削除されています。意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
本件申込みが効力を失わない場合、Bが承諾の意思表示を発信した時点で甲土地の売買契約が成立する。(R3⑫-8-4) - 誤り。民法121条の2第1項で規定されています。無効な法律行為に基づいて給付を受けた者は、相手方に対して、その給付を受ける前の状態に戻す義務(原状回復義務)を負います。例えば売買契約が無効となった場合、買主は商品を売主に返し、売主は買主に代金を返還しなければなりません。
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
- 誤り。民法107条で規定されています。正当な代理人が代理権の範囲で自己又は第三者の利益を図る行為をした場合、相手方がその目的について知り、または知ることができたときは無権代理行為となります。本人の落ち度と取引の安全を勘案し、相手方が善意だったときには相手方を保護し、相手方が悪意だったときには本人を保護することになっています。
代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
- 誤り。民法5条1項で規定されています。未成年者が法律行為をする際には、原則として法定代理人の同意が必要です。ただし、未成年者が単に権利を取得したり、義務が免除される行為については、同意を要しません。
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
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