宅建試験過去問題 令和2年12月試験 問5
問5
時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、時効の対象となる債権の発生原因は、令和6年4月1日以降に生じたものとする。- 消滅時効の援用権者である「当事者」とは、権利の消滅について正当な利益を有する者であり、債務者のほか、保証人、物上保証人、第三取得者も含まれる。
- 裁判上の請求をした場合、裁判が終了するまでの間は時効が完成しないが、当該請求を途中で取り下げて権利が確定することなく当該請求が終了した場合には、その終了した時から新たに時効の進行が始まる。
- 権利の承認があったときは、その時から新たに時効の進行が始まるが、権利の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないことを要しない。
- 夫婦の一方が他方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は、時効が完成しない。
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正解 2
問題難易度
肢111.2%
肢253.0%
肢317.3%
肢418.5%
肢253.0%
肢317.3%
肢418.5%
分野
科目:1 - 権利関係細目:4 - 条件・期間・時効
解説
- 正しい。消滅時効の援用権者は、債務者、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者に限られます(民法145条)。
改正前民法では、当事者とだけ記載されていましたが、判例で認められていた援用権者が明文化されました(保証人につき大判大4.7.13、物上保証人につき最判昭42.10.27、抵当不動産の第三取得者につき最判昭48.12.14)。時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
Aは、この金銭債務の消滅時効を援用することができる。(H12-2-1) - [誤り]。裁判上の請求が行われた場合、その裁判が終了するまで時効の完成が猶予されます。その後の時効の取扱いは、裁判の帰結によって変わります(民法147条)。
- 確定判決等によって権利が確定して終了する
- 終了時から新たに時効の進行が始まる(時効の更新)
- 訴えの取り下げ等で権利が確定することなく終了する
- 終了から6カ月は時効の完成が猶予されるが、時効は更新されない
次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
…
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。 - 正しい。権利の承認があったときには時効は更新されます。新たに何かを取得したり失ったりするわけではないので、この承認を行うのに行為能力は要求されません(民法152条)。
時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
2 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。 - 正しい。夫婦間の債権については、離婚のときから6カ月を経過するまで時効の完成が猶予されます(民法159条)。
この規定のほか特別の事例として、未成年者や成年被後見人が行為能力者となったとき(6カ月)、相続財産について相続人の確定または管理人が選任されたとき(6カ月)、天災等で請求や手続きができないとき(3カ月)にも時効の完成を一定期間猶予する規定があります。夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
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