宅建試験過去問題 令和元年試験 問32(改題)
問32
宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が受け取ることのできる報酬額に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 宅地(代金200万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の代理について、当該代理に要する費用を勘案した報酬額について、あらかじめ売主Bに説明し、合意していた場合には、AはBから660,000円を上限として報酬を受領することができる。
- 事務所(1か月の借賃110万円。消費税等相当額を含む。長期の空家等には該当しない。)の貸借の媒介について、Aは依頼者の双方から合計で110万円を上限として報酬を受領することができる。
- 既存住宅の売買の媒介について、Aが売主Cに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはCから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
- 宅地(代金200万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の媒介について、通常の売買の媒介と比較して費用を多く要しない場合でも、あらかじめ報酬額について売主Dに説明し、合意していた場合には、AはDから330,000円を上限として報酬を受領することができる。
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正解 4
問題難易度
肢120.9%
肢217.6%
肢314.3%
肢447.2%
肢217.6%
肢314.3%
肢447.2%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:10 - 報酬関連
解説
- 正しい。税抜き代金が800万円以下である宅地建物(低廉な空家等)の売買の媒介・代理では、当該媒介・代理に要する費用を勘案して、媒介であれば「30万円×1.1=33万円」、代理はその2倍の66万円を限度として報酬を受け取ることができます。ただし、媒介・代理契約に際しあらかじめ報酬額について依頼者に説明し、合意していることが条件です。
本肢は、税抜き代金が800万円以下の売買の代理であり、報酬額について説明・合意済みなので、報酬額の上限は66万円となります。 - 正しい。貸借の媒介では依頼者双方から受け取れる報酬合計は「借賃1月分+消費税」が上限です。税抜きの借賃は「110万円÷1.1=100万円」、借賃1月分+消費税は「100万円×1.10=110万円」なので、Aは依頼者双方から合計で110万円まで受領できます。
- 正しい。建物状況調査を実施する者のあっせんは、媒介業務の一環であるため、宅地建物取引業者は、依頼者に対し建物状況調査を実施する者をあっせんした場合において、報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできません(解釈運用-34条の2関係7)。
建物状況調査を実施する者のあっせんは、媒介業務の一環であるため、宅地建物取引業者は、依頼者に対し建物状況調査を実施する者をあっせんした場合において、報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
- [誤り]。低廉な空家等の特例は、当該媒介に要する費用を勘案して本来の報酬額を超えることができるものです。ここでいう「費用を勘案して」とは、取引の態様や難易度等に応じて当該媒介業務に要すると見込まれる費用の水準や多寡を考慮するものとされています(解釈運用-告示第7関係③)。
したがって、通常の売買の媒介と比較して費用を多く要しない場合は、合意があっても報酬額の加算はできず、本則どおり「200万円×5%×1.10=11万円」が報酬額の上限となります。「当該媒介に要する費用」とは、人件費等を含むものであり、「費用を勘案して」とは、報酬額の算出に当たって、取引の態様や難易度等に応じて当該媒介業務に要すると見込まれる費用の水準や多寡を考慮することを求めるものであって、当該費用に相当する金額を上回る報酬を受けることを禁ずる趣旨のものではない。
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