宅建試験過去問題 平成29年試験 問26(改題)

問26

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDの間での賃貸借契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、1か月分の借賃は9万円(消費税等相当額を含まない。)である。また、貸借の代理又は媒介をする宅地又は建物は長期の空家等には該当しないものとする。
  1. 建物を店舖として貸借する場合、当該賃貸借契約において200万円の権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいい、消費税等相当額を含まない。)の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の限度額の合計は220,000円である。
  2. AがBから49,500円の報酬を受領し、CがDから49,500円の報酬を受領した場合、AはBの依頼によって行った広告の料金に相当する額を別途受領することができない。
  3. Cは、Dから報酬をその限度額まで受領できるほかに、法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った対価として、報酬を受領することができる。
  4. 建物を居住用として貸借する場合、当該賃貸借契約において100万円の保証金(Dの退去時にDに全額返還されるものとする。)の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の限度額の合計は110,000円である。

正解 1

問題難易度
肢167.2%
肢215.9%
肢35.8%
肢411.1%

解説

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  1. [正しい]。居住用建物以外の貸借の媒介・代理で権利金の授受がある場合、①借賃1月分+消費税、②権利金を売買代金としてみなして計算した報酬額、のいずれか高いほうが報酬の限度額となります。
    ①借賃の1か月分+消費税
    90,000円×1.1=99,000円
    ②権利金を売買代金としてみなして計算した報酬額
    2,000,000円×5%×1.1=110,000円(A社・C社それぞれ)
    この額を双方から受領できるため、報酬額の合計は220,000円
    よって、2つを比べてより多い220,000円が報酬の限度額となります。
  2. 誤り。依頼者の特別の依頼によってした広告の料金は、法定の報酬限度額とは別に受け取ることができます。なお、本来の報酬として受領できる金額は説明のとおりです。
  3. 誤り。重要事項説明は法で定められた媒介業務の一部ですから、宅地建物取引業者はそれが通常の費用である限り、重要事項説明を行なった対価を報酬とは別に受領することはできません。
  4. 誤り。居住用建物の場合、権利金を売買代金とみなすことはできません。また、本肢のように将来的に返還される金銭は権利金に含まれません。よって、A及びCが受領できる報酬の限度額の合計は、借賃1月分に消費税相当額を加えた「90,000円×1.1=99,000円」となります。
したがって正しい記述は[1]です。