宅建試験過去問題 平成23年試験 問11
問11
借地借家法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。- 建物の用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更その他の事情の変更により、現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。
- 賃貸借契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて残存すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
- 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
- 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
広告
正解 3
問題難易度
肢17.8%
肢218.8%
肢361.1%
肢412.3%
肢218.8%
肢361.1%
肢412.3%
分野
科目:1 - 権利関係細目:14 - 借地借家法(土地)
解説
- 正しい。本肢は、借地借家法17条1項の条文をそのまま出題したものです。
賃貸借契約の内容は当事者同士の合意によりますから、「この土地に建築できるのは木造の2階建て以下の住宅に限る」といった制限があった場合にはそれに従うことになります。しかし、借地契約は長期にわたるものですから、契約から年月が経ち、市街地でなかったところが市街地(例えば高度利用地区)になったり、防火規制のなかったところが防火地域になったりするなど、法令上の制限やその他の事情が変わる余地があります。
その際、当事者同士で借地条件の変更について合意ができれば問題ありませんが、借地条件を変更することが相当であるにもかかわらず相手方の合意が得られない場合には、当事者は裁判所に借地条件を変更するよう申し立てることができます。 - 正しい。本肢は、借地借家法18条1項の条文をそのまま出題したものです。
借地権の当初の期間内に建物が滅失したとき、借地権設定者の承諾を得た上で築造すれば、存続期間は承諾日と建物築造日の早い日から20年間延長されます。もし借地権設定者の承諾なしで建物を築造しても、地主からの中途解約は無効ですから、当初の存続期間までは借地権は存続することとなります。その後、正当事由による更新拒絶がなければ契約は法定更新されます。
しかし、更新後に建物が滅失したときは取り扱いが異なります。承諾の上で築造した場合には上記と同じで20年延長となりますが、無承諾での築造があった場合、借地権設定者には、借地権の消滅を申入れをする権利が認められています(借地借家法8条2項)。よって、借地権者は当初の存続期間とは異なり、無承諾で建物を築造するという手段が使えません。しかしながら、建物を築造する理由がやむを得ない事情であれば借地権者を保護してしかるべきなので、裁判所が承諾に代わる許可を与えることができるようになっています。
ただし、借地権設定者が上記の解約権を放棄している場合には、無承諾で築造しても残存期間満了まで解約されることがないのに加え、満了時には法定更新があるため、借地権者は当初の存続期間並みに保護されます。したがって、裁判所の許可を求めることができる場合から除かれています。
※単に築造と書いていますが、残存期間を超えて存続する建物の築造と読み替えてください。借地権の当初の存続期間中に借地上の建物の滅失があった場合で、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借契約の解約の申入れをすることができる。(H21-11-1) - [誤り]。記述中の「第三者の」の部分が間違っています。
借地権者が借地上の建物を第三者に譲渡しようとする場合、第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないとき、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。この許可は、第三者からの申立てにより行うことはできません(借地借家法19条1項)。裁判所の許可は、これから建物の譲渡をするというタイミングで、本来は借地権者が得るべき承諾に代えて行われるものですから、借地権者が申立て行うのが合理的であり、まだ建物の譲渡を受けてもいない第三者が行うのは不自然です。Aが借地権をCに対して譲渡するに当たり、Bに不利になるおそれがないにもかかわらず、Bが借地権の譲渡を承諾しない場合には、AはBの承諾に代わる許可を与えるように裁判所に申し立てることができる。(H17-13-2) - 正しい。本肢は、借地借家法20条1項の条文をそのまま出題したものです。
第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができます。
広告
広告