37条書面(全37問中1問目)

No.1

宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供すること(以下この問において「37条書面の電磁的方法による提供」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
  1. 宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、当該契約の相手方から宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を得なければ、37条書面の電磁的方法による提供をすることができない。
  2. 宅地建物取引業者が媒介業者として関与する売買契約について、宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を取得するための通知の中に宅地建物取引士を明示しておけば、37条書面の電磁的方法による提供において提供に係る宅地建物取引士を明示する必要はない。
  3. 宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供されたファイルへの記録を取引の相手方が出力することにより書面を作成できるものでなければならない。
  4. 宅地建物取引業者が媒介業者として関与する建物賃貸借契約について、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供するファイルに記録された記載事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じなければならない。
令和5年試験 問26
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 3

問題難易度
肢19.6%
肢224.4%
肢358.3%
肢47.7%

解説

  1. 正しい。35条書面や37条書面を電磁的方法により提供する場合は、あらかじめ相手方から書面又は電子情報処理組織を使用する方法(①電子メール、②ウェブによる方法、③記録媒体の交付)により承諾を得なければなりません(宅建業法令3条の4第1項)。なお、承諾を得ても、その後相手方からNGの申出があった場合には、再度承諾を得ない限り電磁的方法による提供はできません。
    法第三十七条第四項の規定による承諾は、宅地建物取引業者が、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、当該承諾に係る同項各号に定める者(以下この項及び次項において「相手方等」という。)に対し同条第四項の規定による電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類及び内容を示した上で、当該相手方等から書面又は電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるもの(次項において「書面等」という。)によつて得るものとする。
  2. 誤り。電磁的方法による提供では、書面への記名に代わるものとして、書面の交付に係る宅地建物取引士が明示されていることが必要です。
    電磁的方法による提供について承諾を得るための通知には、提供方法の種類とその内容を示した上で行えば足り、宅地建物取引士の明示は不要です。その後、電磁的方法で提供する場合は、①ファイルから書面を作成できる、②改変の有無を確認できる措置を講じている、③書面の交付に係る宅地建物取引士が明示されているという3点を満たす方法で行わなければなりません(宅建業法規則16条の4の11第2項第4号)。

    【参考】
    法では「宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない」としており、記名は書面を作成したときに限りすることになっています。電磁的方法による提供をするときには書面は作成されませんから、書面への記名に代えて、電子データ内に交付に係る宅地建物取引士を明示することが義務付けられているというわけです。
    前項各号に掲げる方法は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。

    四 書面の交付に係る宅地建物取引士が明示されるものであること。
    宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供されたファイルへの記録を取引の相手方が出力することにより書面を作成できるものでなければならない。R5-26-ウ
    宅地建物取引業者が媒介業者として関与する建物賃貸借契約について、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供するファイルに記録された記載事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じなければならない。R5-26-エ
  3. 正しい。電磁的方法による提供では、相手方のコンピュータにファイルとして記録され、そのファイルを出力することにより書面を作成することができるものでなければなりません(宅建業法規則16条の4の11第2項1号)。
    前項各号に掲げる方法は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
    一 相手方が相手方ファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものであること。
    宅地建物取引業者が媒介業者として関与する売買契約について、宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を取得するための通知の中に宅地建物取引士を明示しておけば、37条書面の電磁的方法による提供において提供に係る宅地建物取引士を明示する必要はない。R5-26-イ
    宅地建物取引業者が媒介業者として関与する建物賃貸借契約について、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供するファイルに記録された記載事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じなければならない。R5-26-エ
  4. 正しい。電磁的方法による提供では、ファイルに記録された記載事項について、改変が行われていないかどうかを確認できる措置を講じているものでなければなりません(宅建業法規則16条の4の11第2項2号)。一般的には電子署名を付与することにより、受信者側で改変の有無を検知できるようにします。

    【参考】電子署名の仕組み
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    前項各号に掲げる方法は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。

    二 ファイルに記録された記載事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。
    宅地建物取引業者が媒介業者として関与する売買契約について、宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を取得するための通知の中に宅地建物取引士を明示しておけば、37条書面の電磁的方法による提供において提供に係る宅地建物取引士を明示する必要はない。R5-26-イ
    宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供されたファイルへの記録を取引の相手方が出力することにより書面を作成できるものでなければならない。R5-26-ウ
したがって正しいものは「三つ」です。