業務上の規制(全77問中54問目)

No.54

次に記述する宅地建物取引業者Aが行う業務に関する行為のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。
平成20年試験 問38
  1. 宅地の売買の媒介において、当該宅地の周辺環境について買主の判断に重要な影響を及ぼす事実があったため、買主を現地に案内した際に、宅地建物取引士でないAの従業者が当該事実について説明した。
  2. 建物の貸借の媒介において、申込者が自己都合で申込みを撤回し賃貸借契約が成立しなかったため、Aは、既に受領していた預り金から媒介報酬に相当する金額を差し引いて、申込者に返還した。
  3. Aの従業者は、宅地の販売の勧誘に際し、買主に対して「この付近に鉄道の新駅ができる」と説明したが、実際には新駅設置計画は存在せず、当該従業者の思い込みであったことが判明し、契約の締結には至らなかった。
  4. Aは、自ら売主として、宅地の売却を行うに際し、買主が手付金100万円を用意していなかったため、後日支払うことを約して、手付金を100万円とする売買契約を締結した。

正解 1

問題難易度
肢173.7%
肢27.6%
肢35.1%
肢413.6%

解説

  1. [違反しない]。宅建業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼす情報について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為は禁止されています(宅建業法47条1号ニ)。本肢のケースでは、重要な情報を伝えているため問題とはなりません。そして、この説明は重要事項説明として行われたものではないので宅地建物取引士に限定されるものではありません。
    イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
  2. 違反する。本肢では、賃貸借契約は成立していません。申込みの撤回に際して、受領済みの預り金の返還を拒む行為は禁止されています(宅建業法規則16条の12第2号)。
    宅地建物取引業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むこと。
  3. 違反する。宅地建物の売買・交換・貸借の勧誘に際し、不実を告げる行為は禁止されています(宅建業法47条1号ニ)。本肢の場合、契約締結には至っていませんが、その場合でも宅建業法の違反行為となります。
    イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であつて、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
  4. 違反する。手付金の立替え、分割払いは信用の供与にあたるため、宅建業法の規定に違反します(宅建業法47条3号)。
    手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為
したがって違反しないものは[1]です。