報酬関連(全24問中1問目)

No.1

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を成立させた場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
  1. 本件契約が建物を住居として貸借する契約である場合に、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ないまま、132,000円の報酬を受領した。
  2. AはBから事前に特別な広告の依頼があったので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領した。
  3. CはDに対し、賃貸借契約書の作成費を、Dから限度額まで受領した媒介報酬の他に請求して受領した。
  4. 本件契約が建物を事務所として貸借する契約である場合に、報酬として、AはBから132,000円を、CはDから132,000円をそれぞれ受領した。
令和5年試験 問34
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 3

問題難易度
肢18.6%
肢225.4%
肢356.6%
肢49.4%

解説

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  1. 違反する。媒介の依頼を受けるときに承諾を得ていないので、一方から132,000円を受領することはできません。貸借の媒介に関する報酬限度額は「借賃1月分+消費税」で、本問に当てはまると「120,000円×1.1=132,000円」です。さらに、居住用建物の貸借では、貸主・借主の一方から受領できる報酬はその半分以下でなければなりません。ただし、「借賃0.5月分+消費税」を超える報酬を受けることについて、依頼者から事前に承諾を得ている場合であれば「借賃1月分+消費税」まで受領することができます(報酬告示第4)。
    本件契約が建物を事務所として貸借する契約である場合に、報酬として、AはBから132,000円を、CはDから132,000円をそれぞれ受領した。R5-34-エ
  2. 違反しない。依頼者の依頼によって行うもののうち、①特別な広告の料金、②調査等に要する特別の費用で事前に依頼者の承諾があるものについては、法定の報酬限度額とは別にその実費を受領することができます。本肢は「特別な広告の依頼」とあるので、広告掲載料金を受領しても違反にはなりません(報酬告示第9)。
    CはDに対し、賃貸借契約書の作成費を、Dから限度額まで受領した媒介報酬の他に請求して受領した。R5-34-ウ
    建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。R3⑩-30-イ
    Aは、建物の貸借の媒介に当たり、依頼者の依頼に基づいて広告をした。Aは報酬とは別に、依頼者に対しその広告料金を請求することができない。H17-34-4
  3. 違反する。媒介により成立した契約について契約書を作成するのは、法で定められた媒介業務の一部ですから、宅地建物取引業者は、それが通常の費用である限り、契約書を作成したことについて報酬とは別に料金を受領することはできません。実務において文書作成費を請求する悪徳業者もいるようですが完全にアウトです(報酬告示第9)。
    AはBから事前に特別な広告の依頼があったので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領した。R5-34-イ
    建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。R3⑩-30-イ
    Aは、建物の貸借の媒介に当たり、依頼者の依頼に基づいて広告をした。Aは報酬とは別に、依頼者に対しその広告料金を請求することができない。H17-34-4
  4. 違反する。貸借の媒介では、依頼者双方から受領できる報酬の合計は「借賃1月分+消費税」以下でなければなりません。これは居住用建物とそれ以外で違いはありません。本肢は、双方から「借賃1月分+消費税」を受領しているので違反となります。居住用建物以外のときに異なるのは、①依頼者の一方から受け取る報酬の割合について制限がないこと、②権利金を売買代金とみなして報酬額を計算できることの2点です(報酬告示第4)。
    本件契約が建物を住居として貸借する契約である場合に、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ないまま、132,000円の報酬を受領した。R5-34-ア
したがって違反するものは「三つ」です。