報酬関連(全25問中20問目)

No.20

宅地建物取引業者A及び宅地建物取引業者B(共に消費税課税事業者)が受領する報酬に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、借賃には、消費税相当額を含まないものとし、貸借の代理又は媒介をする宅地又は建物は長期の空家等には該当しないものとする。
平成20年試験 問43
  1. Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.10か月分である。
  2. Aが単独で行う事業用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の双方から受ける報酬の合計額が借賃の1.10か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよい。
  3. Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃25万円(消費税額及び地方消費税額を含む。)、権利金330万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されない。消費税額及び地方消費税額を含む。)の契約を成立させた場合、Aは依頼者の双方から合計で31万円の報酬を受けることができる。
  4. Aは売主から代理の依頼を、Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金4,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から277万2,000円、Bは買主から138万6,000円の報酬をそれぞれ受けることができる。

正解 2

問題難易度
肢117.3%
肢260.3%
肢313.1%
肢49.3%

解説

  1. 誤り。居住用建物の貸借の媒介に関して依頼者の一方から受領できる金額は、依頼者の承諾を得ている場合を除き「借賃0.5月分+消費税」までです。この承諾は、媒介の依頼を受けるに当たって得ている必要があります。本肢は「報酬請求時まで」としているため誤りです。
  2. [正しい]。居住用建物以外の貸借の媒介では、双方から受け取る報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けても問題ありません。本肢は事業用建物ですから、受領する割合は制限されません。
  3. 誤り。居住用建物以外の貸借の媒介・代理で権利金の授受がある場合、①借賃1月分+消費税、②権利金を売買代金としてみなして計算した報酬額、のうち高いほうが報酬限度額となります。
    ①借賃の1か月分+消費税
    25万円×1.1=27万5,000円
    ②権利金を売買代金としてみなして計算した報酬額
    税抜き売買代金は「330万円÷1.1=300万円」です。税抜き売買代金が200万円超400万円以下なので「売買代金×4%+2万円」の速算式を使って報酬額を計算します。
    (300万円×4%+2万円)×1.10=15万4,000円
    ※Aは貸主・借主の双方から依頼を受けているので、それぞれから15万4,000円を受領できる
    以上の計算より、依頼者の双方から受領できる報酬の合計額は「15万4,000円×2=30万8,000円」とわかります。よって、合計31万円を受け取ることはできません。
  4. 誤り。税抜き売買代金が400万円超なので「売買代金×3%+6万円」の速算式を使って報酬額を計算します。
    A(代理)の報酬限度額
    (4,000万円×3%+6万円)×1.10=138万6,000円
    138万6,000円×2=277万2,000円
    B(媒介)の報酬限度額
    (4,000万円×3%+6万円)×1.10=138万6,000円
    A、B合わせた報酬限度額
    277万2,000円(媒介の2倍、代理と同じ)
    この制限に違反しないように報酬を受領することになります。本肢では、Aが277万2,000円、Bが138万6,000円、合計415万8,000円を受領していて、報酬の合算額が上限を超えているので宅建業法に違反します。
したがって正しい記述は[2]です。