35条書面(全64問中10問目)

No.10

建物の貸借の媒介を行う宅地建物取引業者が、その取引の相手方(宅地建物取引業者を除く。)に対して、次のアからエの発言に続けて宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った場合のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはいくつあるか。
  1. 本日は重要事項の説明を行うためにお電話しました。お客様はIT環境をお持ちでなく映像を見ることができないとのことですので、宅地建物取引士である私が記名した重要事項説明書は現在お住まいの住所に郵送いたしました。このお電話にて重要事項の説明をさせていただきますので、お手元でご覧いただきながらお聞き願います。
  2. 建物の貸主が宅地建物取引業者で、代表者が宅地建物取引士であり建物の事情に詳しいことから、その代表者が作成し、記名した重要事項説明書がこちらになります。当社の宅地建物取引士は同席しますが、説明は貸主の代表者が担当します。
  3. この物件の担当である弊社の宅地建物取引士が本日急用のため対応できなくなりましたが、せっかくお越しいただきましたので、重要事項説明書にある宅地建物取引士欄を訂正の上、宅地建物取引士である私が記名をし、代わりに説明をいたします。私の宅地建物取引士証をお見せします。
  4. 本日はお客様のご希望ですので、テレビ会議を用いて重要事項の説明を行います。当社側の音声は聞こえていますでしょうか。十分に聞き取れたとのお返事、こちらにも聞こえました。では、説明を担当する私の宅地建物取引士証をお示ししますので、画面上でご確認をいただき、私の名前を読み上げていただけますでしょうか。そうです、読み方も間違いありません。それでは、双方音声・映像ともやりとりできる状況ですので、説明を始めます。事前にお送りした私が記名した重要事項説明書をお手元にご用意ください。
令和4年試験 問40
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 2

問題難易度
肢17.0%
肢257.9%
肢330.7%
肢44.4%

解説

  1. 違反する。対面以外で行う重要事項説明(IT重説)は、テレビ会議やテレビ電話等、動画と音声を同時に、かつ双方向でやり取りできる環境で行わなくてはなりません。電話のみのように映像を確認することができない環境では要件を満たさないので、宅建業法違反となります。
  2. 違反する。宅地建物の取引の媒介をした宅地建物取引業者は、買主や借主に対して重要事項説明書を交付し、宅地建物取引士をして記名及び説明する義務を負います。本肢では貸主が宅地建物取引業者ですが、自ら貸主となる業者には重要説明の義務はないので、媒介業者のみに義務があります。したがって、貸主の宅地建物取引業者とその代表者にその事務を行わせて、自らの義務を怠った媒介業者の行為は宅建業法違反となります。また説明するときに宅地建物取引士証を提示していないという点でも違反と言えるでしょう。
    重説作成代行サービスも存在しているようなので、貸主が作成した重説を交付することは問題なさそうです。しかし、媒介業者の宅地建物取引士以外の者に説明を行わせている点は確実に違反です。
  3. 違反しない。重要事項説明書への記名と説明を行うもの、37条書面に記名する者は、その事務を行うべき宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士であれば誰であっても構いません。
  4. 違反しない。テレビ会議を用いた重要事項の説明(IT重説)が有効となるためには以下の要件があります。
    • 宅地建物取引士及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。
    • 宅地建物取引士により記名された重要事項説明書及び添付書類を、重要事項の説明を受けようとする者にあらかじめ送付していること(相手方の承諾を得て、電磁的方法により提供する場合も含む)。
    • 重要事項の説明を受けようとする者が、重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること並びに映像及び音声の状況について、宅地建物取引士が重要事項の説明を開始する前に確認していること。
    • 宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示し、重要事項の説明を受けようとする者が、当該宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認していること。
    本肢は、音声確認、映像確認、取引士証の提示、重要事項説明書等の事前送付という全ての要件を満たしてから説明を始めているので、有効なIT重説となります。
したがって違反しないものは「二つ」です。