不動産鑑定評価基準(全12問中2問目)

No.2

不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
令和3年10月試験 問25
  1. 不動産鑑定士の通常の調査の範囲では、対象不動産の価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な特定の価格形成要因がある場合、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断されるときに限り、当該価格形成要因について調査の範囲に係る条件を設定することができる。
  2. 対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額を再調達原価というが、建設資材、工法等の変遷により、対象不動産の再調達原価を求めることが困難な場合には、対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価を再調達原価とみなすものとする。
  3. 取引事例等に係る取引が特殊な事情を含み、これが当該取引事例等に係る価格等に影響を及ぼしている場合に、適切に補正することを時点修正という。
  4. 不動産の鑑定評価によって求める賃料は、一般的には正常賃料又は継続賃料であるが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定賃料を求めることができる場合がある。

正解 3

問題難易度
肢119.0%
肢213.4%
肢352.3%
肢415.3%

解説

  1. 正しい。通常の調査の範囲では、対象不動産の価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な特定の価格形成要因がある場合、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断される場合に限り、調査範囲等条件を設定することができます(不動産鑑定評価基準5章1節)
  2. 正しい。再調達原価は、原則として、対象不動産を価格時点において再調達することを想定した場合において必要とされる適正な原価の総額です。しかし、建設資材、工法等の変遷により、対象不動産の再調達原価を求めることが困難な場合には、対象不動産と同等の有用性を持つものに置き換えて求めた原価(置換原価)を再調達原価とみなして原価法を適用します(不動産鑑定評価基準7章1節)。
  3. [誤り]。時点修正とは、取引事例等に係る取引等の時点が価格時点と異なることにより、その間に価格水準に変動があると認められる場合に、当該取引事例等の価格等を価格時点の価格等に修正することをいいます(不動産鑑定評価基準7章1節)。本肢は「事情補正」について説明した文なので誤りです。
  4. 正しい。不動産の鑑定評価によって求める賃料は、一般的には正常賃料又は継続賃料ですが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定賃料を求めることができる場合があります(不動産鑑定評価基準5章3節)。
    正常賃料
    正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等(賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料(新規賃料)
    継続賃料
    不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料
    限定賃料
    限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料(新規賃料)
したがって誤っている記述は[3]です。