不動産鑑定評価基準(全12問中1問目)

No.1

不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。
令和5年試験 問25
  1. 原価法は、価格時点における対象不動産の収益価格を求め、この収益価格について減価修正を行って対象不動産の比準価格を求める手法である。
  2. 原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合には適用することができるが、対象不動産が土地のみである場合においては、いかなる場合も適用することができない。
  3. 取引事例比較法における取引事例が、特殊事情のある事例である場合、その具体的な状況が判明し、事情補正できるものであっても採用することは許されない。
  4. 取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。

正解 4

問題難易度
肢122.0%
肢25.2%
肢35.0%
肢467.8%

解説

  1. 誤り。求めるのは収益価格ではありません。原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法です。再調達原価とは現時点でその不動産を再取得する際に必要とされる費用です(不動産鑑定評価基準7章1節Ⅱ)。
  2. 誤り。原価法は、再調達原価を適切に求めることができるときは、土地にも適用することができます。土地の再調達原価は、同等の効用を有する土地の造成費に直接的な付帯費用を加算した額を基準にして、その後の地域要因の変化の程度に応じた増加額を熟成度として加算して求めます(不動産鑑定評価基準7章1節Ⅱ)。
  3. 誤り。特殊な事情を含むものであっても、事情補正により補正できる場合に取引事例として採用することができます。取引事例比較法は、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法です(不動産鑑定評価基準7章1節Ⅲ)。
  4. [正しい]。取引事例比較法では、多数の取引事例を収集することが求められるので、近隣地域・同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合、又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効です(不動産鑑定評価基準7章1節Ⅲ)。
したがって正しい記述は[4]です。