不動産鑑定評価基準(全13問中4問目)

No.4

不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。
令和2年10月試験 問25
  1. 不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されるが、不動産についての現実の使用方法は当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意すべきである。
  2. 対象建築物に関する工事が完了していない場合でも、当該工事の完了を前提として鑑定評価を行うことがある。
  3. 特殊価格とは、一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいい、例としては、文化財の指定を受けた建造物について、その保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合において求められる価格があげられる。
  4. 原価法は、対象不動産が建物及びその敷地である場合において、再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効な手法であるが、対象不動産が土地のみである場合には、この手法を適用することはできない。

正解 4

問題難易度
肢17.9%
肢28.2%
肢39.3%
肢474.6%

解説

  1. 正しい。不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用を前提として把握される価格を標準として形成されます。これを「最有効使用の原則」といいます。ただし、現実には様々な事情による使用方法のために、当該不動産が十分な効用を発揮していない場合があることに留意する必要があります(鑑定評価基準4章)。
  2. 正しい。鑑定の依頼目的によっては、造成工事が完成していない土地、建築工事が完了していない建物を、当該工事の完了を前提として鑑定評価の評価とすることが可能です。この場合の鑑定評価を「未竣工建物等鑑定評価」といいます(鑑定評価基準5章1節Ⅰ(5))。
  3. 正しい。特殊価格とは、一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格です。一般的に市場性を有しない不動産の例としては、文化財指定を受けた建築物、寺社仏閣などの宗教施設、学校、市区町村役場などの公共公益施設が挙げられます(鑑定評価基準5章3節)。
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  4. [誤り]。原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法です。対象不動産が土地のみである場合であっても、原価法の適用は可能です。土地の再調達原価は、土地の標準的な取得原価に当該土地の標準的な造成費と発注者が直接負担すべき通常の付帯費用とを加算して求めます(鑑定評価基準7章1節)。
したがって誤っている記述は[4]です。