所得税(全13問中9問目)

No.9

所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成17年試験 問26
  1. 譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいうので、個人の宅地建物取引業者が販売の目的で所有している土地を譲渡した場合には、譲渡所得として課税される。
  2. 建物等の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額がその土地の価額の5/10に相当する金額を超える場合には、譲渡所得として課税される。
  3. 譲渡所得の基因となる資産をその譲渡の時における価額の1/2に満たない金額で個人に対して譲渡した場合には、その譲渡の時における価額に相当する金額によりその資産の譲渡があったものとみなされる。
  4. 個人が所有期間5年以内の固定資産を譲渡した場合には、譲渡益から譲渡所得の特別控除額を差し引いた後の譲渡時の金額の1/2相当額が課税標準とされる。

正解 2

問題難易度
肢112.7%
肢246.2%
肢326.7%
肢414.4%

解説

  1. 誤り。本肢のように、事業者が営利を目的として継続的に行う資産の譲渡は、譲渡所得ではなく事業所得として課税されます(所得税法33条2項1号)。
    次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
    一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
    譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいうので、不動産業者である個人が営利を目的として継続的に行っている土地の譲渡による所得は、譲渡所得として課税される。H29-23-3
  2. [正しい]。土地の価額の10分の5を超える対価を伴う地上権・賃借権・地役権の設定は資産の譲渡とみなされ、譲渡所得の課税対象となります(所得税法令79条1項)。
    建物の全部の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、不動産所得として課税される。R3⑩-23-3
    建物の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、不動産所得として課税される。H29-23-2
  3. 誤り。時価の2分の1未満の対価で譲渡したときに、時価で譲渡したとみなされるのは個人から法人に譲渡した場合です(所得税法59条1項)。個人間で2分の1未満の低額譲渡があったときには、その譲渡により生じた損失の金額が、譲渡所得の金額の計算上なかったものとされる規定はありますが、時価で譲渡したとみなす規定はありません。
  4. 誤り。譲渡所得は、取得したときから譲渡した日までの所有期間を基準に短期譲渡所得と長期譲渡所得に区分されます。所有期間が5年以内ならば短期、5年超ならば長期となります。総所得金額に算入するときに2分の1にするのは長期譲渡所得だけです(所得税法22条2項2号)。本肢は「所有期間5年以内」なので短期譲渡所得となり、2分の1はしません。
    居住者がその取得の日以後5年以内に固定資産を譲渡した場合には、譲渡益から譲渡所得の特別控除額(50万円)を控除した後の譲渡所得の金額の2分の1に相当する金額が課税標準とされる。R3⑩-23-4
したがって正しい記述は[2]です。