建築基準法(全53問中12問目)

No.12

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
令和2年10月試験 問18
  1. 公衆便所及び巡査派出所については、特定行政庁の許可を得ないで、道路に突き出して建築することができる。
  2. 近隣商業地域内において、客席の部分の床面積の合計が200㎡以上の映画館は建築することができない。
  3. 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、老人ホームの共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積は、算入しないものとされている。
  4. 日影による中高層の建築物の高さの制限に係る日影時間の測定は、夏至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われる。

正解 3

問題難易度
肢18.2%
肢26.6%
肢377.7%
肢47.5%

解説

  1. 誤り。公衆便所及び巡査派出所等の公益上必要な建築物であっても、道路に突き出して建築する場合には特定行政庁の許可が必要です(建築基準法44条1項2号)。
    建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。

    二 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
    建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならず、地盤面下に設ける建築物においても同様である。R5-18-2
    地盤面下に設ける建築物については、道路内に建築することができる。H27-18-3
    地盤面下に設ける建築物については、道路内に建築することができる。H12-24-4
  2. 誤り。近隣商業地域では、床面積の多寡にかかわらず映画館を建築することができます。200㎡以上の映画館が建築できないのは準住居地域です。
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  3. [正しい]。昇降機(エレベーター)の昇降路、共同住宅の共用の廊下と階段部分の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しません(建築基準法52条6項2号)。
    建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、次に掲げる建築物の部分の床面積は、算入しないものとする。

    二 共同住宅又は老人ホーム等の共用の廊下又は階段の用に供する部分
    建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、エレベーターの昇降路の部分又は共同住宅の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は、一定の場合を除き、算入しない。H27-18-1
    容積率を算定する上では、共同住宅の共用の廊下及び階段部分は、当該共同住宅の延べ面積の3分の1を限度として、当該共同住宅の延べ面積に算入しない。H20-20-3
  4. 誤り。日影制限に係る日影時間の測定は、冬至日の午前8時から午後4時(北海道のみ午前9時から午後3時)までの間について行われます(建築基準法56条の2第1項)。冬至日を基準にするのは、この日が1年で最も影が長くなる日だからです。この時間帯に一定時間以上影を生じさせないような高さにしなければなりません。
    別表第四(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)内にある同表(ろ)欄の当該各項(中略)に掲げる建築物は、冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間において、…
    法第56条の2第1項の規定による日影規制の対象区域は地方公共団体が条例で指定することとされているが、商業地域、工業地域及び工業専用地域においては、日影規制の対象区域として指定することができない。H18-22-4
したがって正しい記述は[3]です。