所有権・占有権・用益物権 (全31問中29問目)

No.29

A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
平成13年試験 問1
  1. Aが、B・Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。
  2. Bが、その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は、A・Cは、Bに対して、理由を明らかにすることなく当然に、その明渡しを求めることができる。
  3. この建物をEが不法占有している場合には、B・Cは単独でEに明渡しを求めることはできないが、Aなら明渡しを求めることができる。
  4. 裁判による共有物の分割では、Aに建物を取得させ、AからB・Cに対して適正価格で賠償させる方法によることは許されない。

正解 1

問題難易度
肢167.2%
肢214.3%
肢37.4%
肢411.1%

解説

  1. [正しい]。共有者Aは自己の持分については自由に処分することができますが、他の共有者(B・C)の持分については処分する権利を持ちません。他人の権利を売買をするので他人物売買ということになります。他人物売買であっても契約自体は有効ですから、Aは、B・Cから持分を取得してDに移転する義務を負います(民法561条)。
    他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
  2. 誤り。共有者はその持分に応じて共有物の全部を使用することができます(民法249条)。Bの持分は2/10ですから、1年の2割の期間は建物全部を使えるといった具合です。Bは持分に基づく当然の使用収益をしているだけですから、Bの持分が少ないからと言って他の共有者が理由を明らかにせず当然に明渡しを求めることはできません(最判昭41.5.19)。
    各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
    共有物の持分の価格が過半数をこえる者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡を請求することができない。
  3. 誤り。共有物の不法占拠者に対する明渡し請求は共有物の保存行為とされ、各共有者が単独ですることができます(大判大10.6.13民法252条)。よって、過半数の持分をもつAでなくても、B・C単独でEに対して明渡しを求めることもできます。
    第三者が共有地を不法に占有している場合,各共有者は,単独で,当該第三者に対して,当該共有地の明渡しを請求することができる。
    共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
  4. 誤り。裁判による共有物の分割では、諸般の事情を考慮して、共有物を一人の単独所有とし、他の共有者に対してそれぞれの持分を現金で賠償する方法(全面的価格賠償)も許されています(民法258条最判平8.10.31)。
    共有物の性質及び形状、共有関係の発生原因、共有者の数及び持分の割合、共有物の利用状況及び分割された場合の経済的価値、分割方法についての共有者の希望及びその合理性の有無等の事情を総合的に考慮し、当該共有物を共有者のうちの特定の者に取得させるのが相当であると認められ、かつ、その価格が適正に評価され、当該共有物を取得する者に支払能力があって、他の共有者にはその持分の価格を取得させることとしても共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情が存するときは、共有物を共有者のうちの一人の単独所有又は数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割をすることも許される。
したがって正しい記述は[1]です。