区分所有法(全25問中7問目)

No.7

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
令和2年10月試験 問13
  1. 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するが、この区分所有者の定数は、規約で2分の1以上の多数まで減ずることができる。
  2. 共用部分の管理に係る費用については、規約に別段の定めがない限り、共有者で等分する。
  3. 共用部分の保存行為をするには、規約に別段の定めがない限り、集会の決議で決する必要があり、各共有者ですることはできない。
  4. 一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属するが、規約で別段の定めをすることにより、区分所有者全員の共有に属するとすることもできる。

正解 4

問題難易度
肢119.3%
肢212.6%
肢36.9%
肢461.2%

解説

  1. 誤り。形状又は効用の著しい変更を伴う(=軽微でない)共用部分の変更は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決しますが、この区分所有者の定数は、規約で過半数まで減ずることができます(区分所有法17条1項)。区分所有者を200人とすると、2分の1以上の多数だと100人まで減らすことが可能ですが、過半数(2分の1超の多数)だと101人までしか減らせないという違いがあります。
    なお、規約で特別決議の定足数を減らすことができるのは、この共用部分の重大変更に限られます。
    共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
    形状又は効用の著しい変更を伴う共用部分の変更については、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するものであるが、規約でこの区分所有者の定数を過半数まで減ずることができる。R3⑩-13-2
    共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するが、規約でこの区分所有者の定数及び議決権を各過半数まで減ずることができる。H24-13-2
  2. 誤り。管理費用の負担は、共有者で等分ではありません。共用部分の管理に係る費用は、規約に別段の定めがない場合、共用部分の持分に応じて負担することとなります(区分所有法19条)。共用部分の持分は、原則として各区分所有者が有する専有部分の床面積の割合によります。
    各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
    共用部分の管理に要した各区分所有者の費用の負担については、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分に応じて決まる。H24-13-4
  3. 誤り。共用部分の保存行為は、各区分所有者が単独で行うことができます(区分所有法18条)。民法でいう共有物の保存行為が単独で行えるのと同様の考え方となります(民法252条)。集会の決議が必要なのは管理行為です。
    共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
  4. [正しい]。一部共用部分は、その共用部分を使う区分所有者の間で共有されるのが原則ですが、規約で区分所有者全員の共有とすることもできます。ただし、管理者を除き、区分所有者以外の者を所有者として定めることはできません。(区分所有法11条1項・2項)。
    1階が店舗、2階以上が住居となっている複合用途マンションを例にすると、店舗用出入口、店舗用通路、店舗用共用トイレなどは店舗の区分所有者で共有される一部共用部分、住宅用エントランス、住宅用エレベーターなどは住居の区分所有者で共有される一部共用部分ということになります。
    共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
    2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
    共用部分であっても、規約で定めることにより、特定の区分所有者の所有とすることができる。H17-14-1
したがって正しい記述は[4]です。