家族法(全31問中27問目)
No.27
自己所有の建物に妻Bと同居していたAが、遺言を残さないまま死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。平成16年試験 問12
- Aの死後、遺産分割前にBがAの遺産である建物に引き続き居住している場合、C及びDは、Bに対して建物の明渡しを請求することができる。
- Aの死後、遺産分割前にBがAの遺産である建物に引き続き居住している場合、C及びDは、それぞれBに対して建物の賃料相当額の1/4ずつの支払いを請求することができる。
- A死亡の時点でBがAの子Eを懐妊していた場合、Eは相続人とみなされ、法定相続分は、Bが1/2、C・D・Eは各1/6ずつとなる。
- Cの子FがAの遺言書を偽造した場合には、CはAを相続することができない。
広告
正解 3
問題難易度
肢17.1%
肢211.5%
肢368.8%
肢412.6%
肢211.5%
肢368.8%
肢412.6%
分野
科目:1 - 権利関係細目:13 - 家族法
解説
- 誤り。被相続人の配偶者が、被相続人所有の建物に無償で居住している場合には、配偶者短期居住権を有することとなります。配偶者短期居住権は、①遺産分割で建物の帰属が確定した日、②相続開始のときから6カ月、のいずれか遅い日まで無償での居住を認めるものです(民法1037条1項)。
本肢は、遺産分割前ですから、被相続人の配偶者Bに対して明渡し請求をすることはできません。配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(中略)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(中略)に対し、居住建物について無償で使用する権利(中略)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。
一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日
二 前号に掲げる場合以外の場合 第三項の申入れの日から六箇月を経過する日 - 誤り。肢1と同様に被相続人の配偶者Bは配偶者短期居住権を有することとなります。配偶者短期居住権は一定期間無償で居住できる権利ですから、賃料を請求することはできません。
- [正しい]。胎児は相続に関して、既に生まれたものとみなされるため相続人となります(民法886条1項)。
法定相続人は、配偶者Bと、子C・D・Eの組合せとなり、法定相続分は配偶者1/2、子1/2となります。3人の子は1/2を均等に分けるので、各「1/2×1/3=1/6」です。胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
- 誤り。相続人が遺言書を偽造した場合、欠格事由に該当し、相続人となることはできません(民法891条5号)。しかし、本肢の場合、偽造をしたのは相続人の子であるため欠格事由には該当しません。なお、遺言書の偽造は刑法の私文書偽造罪に問われます。
次に掲げる者は、相続人となることができない。
…
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
広告
広告