債権総則(全37問中26問目)
No.26
弁済に関する次の1から4までの記述のうち、判決文及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。(判決文)
借地上の建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有すると解するのが相当である。思うに、建物賃借人と土地賃貸人との間には直接の契約関係はないが、土地賃借権が消滅するときは、建物賃借人は土地賃貸人に対して、賃借建物から退去して土地を明け渡すべき義務を負う法律関係にあり、建物賃借人は、敷地の地代を弁済し、敷地の賃借権が消滅することを防止することに法律上の利益を有するものと解されるからである。
平成20年試験 問8
- 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は、借地人の意思に反しても、地代を弁済することができる。
- 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を支払おうとしても、土地賃貸人がこれを受け取らないときは、当該賃借人は地代を供託することができる。
- 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人は、土地賃貸人の意思に反しても、地代について金銭以外のもので代物弁済することができる。
- 借地人が地代の支払を怠っている場合、借地上の建物の賃借人が土地賃貸人に対して地代を弁済すれば、土地賃貸人は借地人の地代の不払を理由として借地契約を解除することはできない。
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正解 3
問題難易度
肢15.7%
肢212.3%
肢369.7%
肢412.3%
肢212.3%
肢369.7%
肢412.3%
分野
科目:1 - 権利関係細目:7 - 債権総則
解説
- 正しい。判決文によると、「建物の賃借人はその敷地の地代の弁済について法律上の利害関係を有する」と解されています。利害関係者であれば、債務者の意思にかかわらず代わりに債務の弁済ができます(民法474条2項)。
よって、建物の賃借人は債務者の意思に反して第三者弁済を行うことが可能です。弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。
Cは、借賃の支払債務に関して正当な利益を有しないので、Aの意思に反して、債務を弁済することはできない。(H17-7-1) - 正しい。債権者が弁済の受領を拒絶した場合は供託することにより、債権を消滅させることが可能です(民法494条1項2号)。
弁済者は、次に掲げる場合には、債権者のために弁済の目的物を供託することができる。この場合においては、弁済者が供託をした時に、その債権は、消滅する。
一 弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。 - [誤り]。代物弁済を行うには、債権者との契約が必要です。よって、法律上の利害関係を有する第三者であっても、債権者の意思に反して代物弁済を行うことはできません(民法482条)。
弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。
- 正しい。法律上の利害関係を有する第三者が弁済をした場合、その弁済は有効となります(民法474条1項)。この場合、債務不履行ではなくなるため不払を理由に契約解除をすることはできません。
債務の弁済は、第三者もすることができる。
民法改正により第三者弁済をできる者が「利害関係を有する者」から「弁済をするについて正当な利益を有する者」に変更されました。民法改正前の判例ですので、改題なしで掲載していますが上記変更は表現の統一を図るためのものであり、判例の意義は変わっていません。
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