借地借家法(土地)(全26問中26問目)

No.26

Aを賃借人、Bを賃貸人としてB所有の土地に建物譲渡特約付借地権を設定する契約(その設定後30年を経過した日に借地上の建物の所有権がAからBに移転する旨の特約が付いているものとする。)を締結した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。
平成12年試験 問11
  1. 本件契約における建物譲渡の特約は、必ずしも公正証書によって締結する必要はない。
  2. Aの借地権は、その設定後30年を経過した日における建物譲渡とともに消滅し、本件契約がABの合意によらずに法定更新されることはない。
  3. 建物譲渡によりAの借地権が消滅した場合で、Aがその建物に居住しているときは、Aは、直ちに、Bに対して建物を明け渡さなければならず、賃借の継続を請求することはできない。
  4. Cが、建物をAから賃借し、Aの借地権消滅後もそこに居住している場合で、Bに対して賃借の継続を請求したときは、一定の場合を除き、BC間に期間の定めのない建物賃貸借がされたものとみなされる。

正解 3

問題難易度
肢110.4%
肢214.9%
肢354.3%
肢420.4%

解説

  1. 正しい。建物譲渡特約付借地権の設定では、特に契約方法は定められていません。実務上は書面が推奨されますが口頭でも有効に成立します。なお、公正証書による契約が義務付けられているのは事業用定期借地権等です。
  2. 正しい。建物譲渡特約付借地権は定期借地権の一種ですので、存続期間の満了をもって借地権が消滅します。法定更新されることはありません(借地借家法24条1項)。
    地権を設定する場合(前条第二項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。
    居住の用に供する建物の所有を目的として借地権を設定する場合において、借地権を消滅させる目的で、その設定後30年を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨の特約を定めても、この特約は無効である。R6-11-2
    居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、借地契約を書面で行えば、借地権を消滅させるため、借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でBからAに移転する旨の特約を有効に定めることができる。R3⑩-11-3
  3. [誤り]。建物譲渡特約付借地権の存続期間の満了後は、借地権は消滅し、借地権者は土地所有者に借地上の建物を引渡すことになります。ただし、借地権者や借地上の建物の賃借人がその建物の継続使用を請求した場合には、その建物を土地所有者から賃貸借することができます(借地借家法24条2項)。本肢は「賃借の継続を請求することはできない」としているので誤りです。
    前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
  4. 正しい。肢3の説明どおり、建物引渡し後にその建物を継続使用する請求は、借地権者だけでなく借地上の建物の賃借人も行うことができます。この請求により土地所有者(B)と上記請求者(C)の間で「期限の定めがない建物賃貸借契約」がされたとみなされます。よって記述は適切です。
    ※「原則として」となっているのは定期建物賃貸借がされたときにはそちらが優先されるからです。
したがって誤っている記述は[3]です。