債権総則(全37問中23問目)

No.23

保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
平成22年試験 問8
  1. 保証人となるべきものが、主たる債務者と連絡を取らず、同人からの委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、その保証契約は有効に成立する。
  2. 保証人となるべき者が、口頭で明確に特定の債務につき保証する旨の意思表示を債権者に対してすれば、その保証契約は有効に成立する。
  3. 連帯保証ではない場合の保証人は、債権者から債務の履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を債権者に請求できる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明であるときは、この限りではない。
  4. 連帯保証人が2人いる場合、連帯保証人間に連帯の特約がなくても、連帯保証人は各自全額につき保証責任を負う。

正解 2

問題難易度
肢115.0%
肢272.4%
肢35.8%
肢46.8%

解説

  1. 正しい。保証契約は、債権者と保証人間の契約なので、債務者から委託は要件ではありません。よって、本肢の補償契約は有効に成立します。
    よって、主債務者の委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、その保証契約は有効に成立します。
  2. [誤り]。保証契約は、書面又は電磁的記録でする必要があります。口頭で意思表示をしただけは有効となりません(民法446条2項・3項)。
    2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
    3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
  3. 正しい。連帯保証ではない保証人は催告の抗弁権を有しているため、まずは主たる債務者に催告するよう求めることができます。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明であるときは、この限りではないと規定されています(民法452条)。
    債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。
  4. 正しい。保証人が複数人いて特約がない場合には、各保証人は等しい割合で責任を負います。これを分別の利益といいます(民法456条民法427条)。連帯保証人には分別の利益がないため各自全額につき保証責任を負います(大判大6.4.28)。
    数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。
    数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
    連帯保証人は保証人間に連帯の特約がなくても、分別の利益を有しない。
したがって誤っている記述は[2]です。