売買契約(全31問中2問目)

No.2

売買契約の目的物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において、当該契約不適合が売主及び買主のいずれの責めにも帰することができない事由によるものであるとき、履行の追完請求権、代金の減額請求権、損害賠償請求権及び契約の解除権のうち、民法の規定によれば、買主が行使することができない権利のみを掲げたものとして正しいものは次の記述のうちどれか。なお、上記帰責性以外の点について、権利の行使を妨げる事情はないものとする。
令和6年試験 問10
  1. 履行の追完請求権、損害賠償請求権、契約の解除権
  2. 代金の減額請求権、損害賠償請求権、契約の解除権
  3. 履行の追完請求権、代金の減額請求権
  4. 損害賠償請求権

正解 4

問題難易度
肢17.8%
肢28.1%
肢316.2%
肢467.9%

解説

売買契約で引き渡された目的物に契約不適合があった場合、買主が売主に請求できる内容には、履行の追完(民法562条)、代金減額(民法563条)、契約解除(民法541条・542条)、損害賠償(民法415条)の4つがあります。

契約不適合責任に関する4つの権利にはそれぞれ行使できる条件があります。
  • 履行の追完 … 買主に帰責事由がない
  • 代金減額 … 請求しても履行の追完がされない
  • 契約解除 … 債務不履行の程度が軽微でない
  • 損害賠償 … 債務者に帰責事由がある
売主の契約不適合責任は、損害賠償責任を除いて、無過失責任とされています。このため、履行の追完、代金減額、契約解除については売主に過失や帰責性がなくても請求可能です。ただし、損害賠償請求だけは、債務不履行の一般原則に基づき、債務者である売主に帰責性がある場合でなければ行使することができません。

したがって、売主・買主のいずれも帰責事由がないときに、買主が行使することができない権利は「損害賠償請求権」のみです。したがって[4]が正解です。