宅建試験過去問題 平成23年試験 問40(改題)
問40
宅地建物取引業者A社(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C社(消費税課税事業者)は借主Dから媒介の依頼を受け、BとDとの間で賃貸借契約を成立させた。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば誤っているものはどれか。なお1か月分の借賃は10万円であり、貸借の代理又は媒介をする宅地又は建物は長期の空家等には該当しないものとする。- 建物を住居として賃借する場合、C社は、Dから承諾を得ているときを除き、55,000円を超える報酬をDから受領することはできない。
- 建物を店舗として貸借する場合、A社がBから110,000円の報酬を受領するときは、C社はDから報酬を受領することはできない。
- 建物を店舗として貸借する場合、本件賃貸借契約において300万円の権利金(返還されない金銭)の授受があるときは、A社及びC社が受領できる報酬の額の合計は、308,000円以内である。
- C社は、Dから媒介報酬の限度額まで受領できるほかに、法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面を作成した対価として、文書作成費を受領することができる。
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正解 4
問題難易度
肢18.6%
肢210.4%
肢315.6%
肢465.4%
肢210.4%
肢315.6%
肢465.4%
分野
科目:5 - 宅地建物取引業法等細目:10 - 報酬関連
解説
- 正しい。賃借の代理・媒介では、依頼者の双方から受領できる報酬の合計額は「借賃1月分+消費税」が上限です。また、居住用建物の貸借では依頼者の承諾を得ている場合を除き、一方の依頼者から受けることができる報酬額は「借賃0.5月分+消費税」に制限されます。
本肢は居住用建物の媒介なので、借主Dの承諾がある場合を除き、借主Dから受領できる報酬額は「10万円÷2×1.1=5万5,000円」が上限となります。 - 正しい。居住用建物以外の貸借の媒介では、双方から受け取る報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けても問題ありません。本肢は店舗ですから、受領する割合は制限されません。
本問では借賃1月分が10万円ですので、貸主・借主の双方から受領できる報酬は「10万円×1.1=11万円」が上限となります。なお、1つの取引に複数の宅地建物取引業者が関与していた場合でもこの限度額の範囲でしか報酬を受領できません。よって、A社がBから11万円の報酬を受領した場合、C社はDから報酬を受領することができません。 - 正しい。居住用建物以外の貸借の媒介・代理で権利金の授受がある場合、①借賃1月分+消費税、②権利金を売買代金としてみなして計算した報酬額、のうち高いほうが報酬限度額となります。
- ①借賃の1か月分+消費税
- 10万円×1.1=11万円
- ②権利金を売買代金としてみなして計算した報酬額
- A(代理)の報酬限度額
(300万円×4%+2万円)×1.1=15万4,000円
15万4,000円×2=30万8,000円 - C社(媒介)の報酬限度額
(300万円×4%+2万円)×1.1=15万4,000円 - A、C合わせた報酬限度額
30万8,000円(媒介の2倍、代理と同じ)
- A(代理)の報酬限度額
- [誤り]。媒介により成立した契約について契約書を作成するのは、法で定められた媒介業務の一部ですから、宅地建物取引業者はそれが通常の費用である限り、契約書を作成したことについて報酬とは別に料金を受領することはできません。実務において文書作成費を請求する悪徳業者もいるようですが違法行為です。
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