35条書面(全61問中22問目)

No.22

宅地建物取引業者Aは、Bが所有し、居住している甲住宅の売却の媒介を、また、宅地建物取引業者Cは、Dから既存住宅の購入の媒介を依頼され、それぞれ媒介契約を締結した。その後、B及びDは、それぞれA及びCの媒介により、甲住宅の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「建物状況調査」とは、法第34条の2第1項第4号に規定する調査をいうものとする。
平成30年試験 問27
  1. Aは、甲住宅の売却の依頼を受けた媒介業者として、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認しなければならない。
  2. A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、甲住宅について、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況及びそれぞれの書類に記載されている内容について説明しなければならない。
  3. CがDとの間で媒介契約を締結する2年前に、甲住宅は既に建物状況調査を受けていた。この場合において、A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、建物状況調査を実施している旨及びその結果の概要について説明しなければならない。
  4. A及びCは、Dが宅地建物取引業者である場合であっても、法第37条に基づき交付すべき書面において、甲住宅の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項があるときにその記載を省略することはできない。

正解 4

問題難易度
肢18.5%
肢210.5%
肢311.1%
肢469.9%

解説

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本問では平成30年の宅建業法の改正事項が集中して問われていますので、概要を説明してから解説に移ります。

【媒介契約書(34条書面)への記載事項の追加】
媒介契約時に作成・交付する34条書面(媒介契約書)の記載事項として建物状況調査を実施する者のあっせんの有無が追加されました。「あっせん」とは、単に建物状況調査を実施する者に関する情報提供ではなく、依頼者と建物状況調査を実施する者との間で、具体的なやり取りが行われるように手配することをいいます。
なお、あっせんした場合でも依頼者から別途料金を受領することはできません。

【重要事項説明書(35条書面)への記載事項及び説明事項の追加】
  1. [建物状況調査の結果の概要]
    既存建物の売買・交換・代理及び媒介しての貸借の際に、その建物が過去1年以内に建物状況調査を実施しているかどうか、および実施している場合にはその結果の概要を説明しなければなりません。
    なお、過去1年以内に複数回の建物状況調査を実施している場合には、原則として直近のものが説明の対象となります。
  2. [関連書類の保存状況]
    既存建物の売買・交換の際に、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存状況を説明しなければなりません。あくまで書類の有無の説明するものであり、書類に記載されている内容の説明までを義務付けるものではありません。
    なお、売主及び管理者等に書類を照会しても書類の有無が明らかにならなかった場合には、その照会をもって義務を果たしたことになります。
【契約書面(37条書面)への記載事項の追加】
既存建物の売買・交換が成立した際、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について、当事者双方が確認した事項を37条書面へ記載しなくてはなりません。建物状況調査等の専門的な第三者による調査が行われており、その結果を重要事項として説明している場合には、それを当事者双方の確認した事項として記載します。
  1. 誤り。Aは、依頼主であるBに対して「建物状況調査を実施する者のあっせんの有無」を記載した媒介契約書を交付する必要はありますが、Dに対して確認する事項はありません。
  2. 誤り。宅地建物取引業者は、建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存状況を説明する義務があります。しかし、書類の記載内容まで説明する必要はありません。
  3. 誤り。既存建物の媒介契約を締結する際、当該建物が建物状況調査実施後1年以内である場合は、結果の概要を説明する必要があります。しかし、本肢では2年前のため説明する必要はありません。
  4. [正しい]。37条書面には、「構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項」を記載する必要があります。これは相手方が宅地建物取引業者であっても省略できません。
したがって正しい記述は[4]です。