報酬関連(全25問中1問目)

No.1

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)及び宅地建物取引業者B(消費税免税事業者)が受領した報酬に関するアからウの記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものの組合せは1から4のうちどれか。なお、代理、媒介に当たり、広告の依頼は行われていないものとする。
  1. 居住用建物(1か月の借賃12万円。消費税等相当額を含まない。)について、Aは貸主から代理を依頼され、Bは借主から媒介を依頼され、Aは貸主から6.7万円、Bは借主から6.5万円を報酬として受領した。なお、Bは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬について借主から特段の承諾を得ていない。
  2. Bは、事業用建物について、貸主と借主双方から媒介を依頼され、借賃1か月分10万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金90万円(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ5万円を報酬として受領した。
  3. Aは、土地付建物について、売主と買主双方から媒介を依頼され、代金3,500万円(消費税等相当額を含み、土地代金は2,400万円である。)の売買契約を成立させ、売主と買主からそれぞれ110万円を報酬として受領したほか、売主の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した実費の費用について、売主が事前に負担を承諾していたので、売主から9万円を受領した。
令和6年試験 問28
  1. ア、イ
  2. イ、ウ
  3. ア、ウ
  4. ア、イ、ウ

正解 2

問題難易度
肢115.4%
肢263.9%
肢39.0%
肢411.7%

解説

20数年ぶりに報酬計算に免税事業者が登場しました。課税事業者は報酬額に乗ずる消費税率が1.10ですが、免税事業者は1.04になることが違いです(解釈運用-第46条第1項関係5)。
  1. 違反する。居住用建物の貸借の代理・媒介では、報酬限度額は貸主・借主の合計で「借賃1月分+消費税」です。また、貸借の媒介において依頼主から事前に承諾を得ていない場合、貸主・借主の一方から受ける報酬額は「借賃0.5月分+消費税」までに制限されます。
    Aは代理なので受け取れる報酬額は「12万円×1.10=13万2,000円」、Bは媒介なので受け取れる報酬額は「6万円×1.04=6万2,400円」、合計で13万2,000円までです。したがって、Bが宅建業法違反となります。
  2. 違反しない。居住用建物以外の建物の貸借において権利金の授受がある場合、その権利金の額を売買代金とみなして報酬額を計算することが可能です。
    賃料1月分×消費税
    A … 5万円×1.10=5万5,000円
    B … 5万円×1.04=5万2,000円
    権利金を売買代金とした場合
    売買代金が200万円以下の場合の速算式「税抜き売買価格×5%」を使用します。
    A … 90万円×5%×1.10=4万9,500円
    B … 90万円×5%×1.04=4万6,800円
    「賃料1月分×消費税」で計算したほうが有利でそれぞれ報酬限度額は5万円以上となります。したがって、Aは貸主から5万円、Bは借主から5万円を受領することができます。
  3. 違反しない。建物代金は「3,500万円-2,400万円=1,100万円」、そのうち消費税相当額は「1,100万円÷1.10=100万円」です。消費税は建物だけにかかるので税抜きの物件価格は「2,400万円+1,000万円=3,400万円」です。この価格が報酬計算のベースとなります。売買代金が400万円超の場合の速算式「税抜き売買価格×3%+6万円」を使用して計算すると、
    • A … (3,400万円×3%+6万円)×1.10=118万8,000円
    • B … (3,400万円×3%+6万円)×1.04=112万3,200円
    したがって、それぞれ110万円を受領することは問題ありません。また、特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用であり、事前に依頼者から費用負担についての承諾があれば、別途受領することができます(解釈運用-告示第九関係)。本肢の場合、①特別の依頼、②特別の現地調査費用、③売主が事前に費用負担を承諾という条件を満たすので、現地調査費用を別途受け取ることができます。
    この規定には、宅地建物取引業者が依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査や空家の特別な調査等に要する実費の費用に相当する額の金銭を依頼者から提供された場合にこれを受領すること等依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものを別途受領することまでも禁止する趣旨は含まれていない。
したがって違反しないものの組合せは「イ、ウ」です。