所得税(全13問中6問目)

No.6

所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成20年試験 問26
  1. 譲渡所得の長期・短期の区分について、総合課税とされる譲渡所得の基因となる機械の譲渡は、譲渡のあった年の1月1日において所有期間が5年を超えているか否かで判定する。
  2. 譲渡所得の金額の計算上、資産の譲渡に係る総収入金額から控除する資産の取得費には、その資産の取得時に支出した購入代金や購入手数料等の金額は含まれるが、その資産の取得後に支出した設備費、改良費の額は含まれない。
  3. 総合課税の譲渡所得の特別控除額(50万円)は、譲渡益のうちまず長期譲渡に該当する部分の金額から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、短期譲渡に該当する部分の金額から控除する。
  4. 個人に対して、譲渡所得の基因となる資産をその譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額で譲渡した場合において、その譲渡により生じた損失の金額については、譲渡所得の金額の計算上、なかったものとみなされる。

正解 4

問題難易度
肢128.6%
肢29.7%
肢317.5%
肢444.2%

解説

  1. 誤り。譲渡所得は長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分され、適用される税率が異なります。短期・長期の区分は所有期間が5年を超えるかどうかで決まりますが、この5年の所有期間は、土地建物(分離課税)では譲渡のあった年の1月1日時点における所有期間で、総合課税の譲渡所得では譲渡のあった日における所有期間で判定します(所得税法33条3項、措置法31条・32条)。
    機械の譲渡所得は総合課税ですので、譲渡のあった年の1月1日ではなく、譲渡があった日の所有期間が5年を超えているか否かで判定します。
  2. 誤り。譲渡所得は「譲渡収入-(取得費+譲渡費用)」の式で算出します。取得費は「その資産の取得に要した金額・設備費・改良費の合計額」ですので、売った土地建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます(所得税法38条1項)。
    譲渡所得の金額の計算上、資産の譲渡に係る総収入金額から控除する資産の取得費には、その資産の取得時に支出した購入代金や購入手数料の金額は含まれるが、その資産の取得後に支出した設備費及び改良費の額は含まれない。R3⑩-23-2
  3. 誤り。総合課税の譲渡所得では特別控除額(最高50万円)を譲渡益から差し引いて所得を計算します。短期・長期の両方がある場合には、特別控除額をまず短期譲渡所得から控除し、その後に長期譲渡所得から控除します。本肢は控除の順序が逆です(所得税法33条4項)。
    譲渡所得の特別控除額(50万円)は、譲渡益のうち、まず、資産の取得の日以後5年以内にされた譲渡による所得で政令で定めるものに該当しないものに係る部分の金額から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、それ以外の譲渡による所得に係る部分の金額から控除する。R3⑩-23-1
  4. [正しい]。個人に対して、譲渡所得の基因となる資産を時価の2分の1未満の額で譲渡して譲渡損失が生じた場合、その損失額はなかったものとみなされます。このため譲渡損失を他の所得と損益通算することはできません(所得税法59条2項、同法令169条)。
したがって正しい記述は[4]です。