家族法(全31問中6問目)
No.6
被相続人Aの配偶者Bが、A所有の建物に相続開始の時に居住していたため、遺産分割協議によって配偶者居住権を取得した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。令和3年10月試験 問4
- 遺産分割協議でBの配偶者居住権の存続期間を20年と定めた場合、存続期間が満了した時点で配偶者居住権は消滅し、配偶者居住権の延長や更新はできない。
- Bは、配偶者居住権の存続期間内であれば、居住している建物の所有者の承諾を得ることなく、第三者に当該建物を賃貸することができる。
- 配偶者居住権の存続期間中にBが死亡した場合、Bの相続人CはBの有していた配偶者居住権を相続する。
- Bが配偶者居住権に基づいて居住している建物が第三者Dに売却された場合、Bは、配偶者居住権の登記がなくてもDに対抗することができる。
広告
正解 1
問題難易度
肢146.1%
肢212.2%
肢39.7%
肢432.0%
肢212.2%
肢39.7%
肢432.0%
分野
科目:1 - 権利関係細目:13 - 家族法
解説
- [正しい]。配偶者居住権の存続期間は終身の間ですが、遺産分割協議・遺言・家庭裁判所の審判において別段の定めがあるときには、その定めに従います(民法1030条)。本肢は遺産分割協議で存続期間を定めているので、20年で終了することとなります。延長や更新はできません。
配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによる。
遺産分割協議において、Bの配偶者居住権の存続期間が定められなかった場合、配偶者居住権の存続期間は20年となる。(R5-7-1) - 誤り。配偶者は、建物の所有者の承諾を得なければ、建物の改築・増築をしたり、第三者に使用収益をさせたりすることができません(民法1032条3項)。配偶者居住権により建物に居住している状態は、所有者から建物を借りている状態と言えるので、賃借権に準じた権利義務が定められています。
配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
Bが高齢となり、バリアフリーのマンションに転居するための資金が必要になった場合、Bは、Cの承諾を得ずに甲建物を第三者Dに賃貸することができる。(R5-7-2) - 誤り。配偶者居住権は配偶者の居住を確保するための一身専属的な権利なので、配偶者の死亡により終了します。よって、相続されることはなく、また譲渡することもできません(民法1036条民法597条3項)。
第五百九十七条第一項及び第三項、第六百条、第六百十三条並びに第六百十六条の二の規定は、配偶者居住権について準用する。
使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
- 誤り。配偶者居住権は賃借権と同様に、登記をしなければ第三者に対抗することができません(民法1031条2項民法605条)。建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、登記を備えさせる義務を負います(民法1031条1項)。
第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
Cには、Bに対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務がある。(R5-7-3)
広告
広告