債権総則(全37問中37問目)
No.37
Aが、Bに対する金銭債務について、代物弁済をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。平成12年試験 問9
- Aが、不動産の所有権をもって代物弁済の目的とする場合、Bへの所有権移転登記その他第三者に対する対抗要件を具備するため必要な行為を完了しなければ、弁済としての効力は生じない。
- Aの提供する不動産の価格が1,000万円で、Bに対する金銭債務が950万円である場合、AB間で清算の取決めをしなければ、代物弁済はできない。
- Aが、Bに対する金銭債務の弁済に代えて、Cに対するAの金銭債権を譲渡する場合に、その金銭債権の弁済期が未到来のものであるときは、弁済としての効力は生じない。
- Bは、Aから代物弁済として不動産の所有権の移転を受けた後は、その不動産に契約不適合があっても、Aの責任を追求することはできない。
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正解 1
問題難易度
肢146.8%
肢210.0%
肢333.2%
肢410.0%
肢210.0%
肢333.2%
肢410.0%
分野
科目:1 - 権利関係細目:7 - 債権総則
解説
- [正しい]。不動産の譲渡をもって債務の弁済をしようとするときは、その意思表示だけでなく、現に所有権移転登記等の第三者への対抗要件を備えさせなければ有効な弁済とはなりません(最判昭40.4.30)。
不動産所有権の譲渡をもつて代物弁済をする場合の債務消滅の効力は、原則として、単に所有権移転の意思表示をなすのみでは足らず、所有権移転登記手続の完了によつて生ずるものと解すべきである。
- 誤り。動産の譲渡をもって債務の弁済しようとするとき、その不動産の価値が消滅させようとする債務と同じである必要はありません(大判大10.11.24)。当事者間の同意があれば差額清算の必要もありません。
債務者が、本来の給付に代えて自己の所有する不動産の所有権を移転する合意を債権者とした場合、当該不動産が本来の給付と同価値かそれ以上の価値があるものである必要はない。
- 誤り。第三者に対する債権をもって代物弁済することも可能です。この場合には、実際に債権者が弁済を受けなくても債権譲渡の対抗要件を具備した際に債務が消滅します(大判大4.11.20)。また、弁済期未到来の債権(将来債権)であっても譲渡することは可能です(民法466条の6第1項)。
債務者が本来の給付に代えて自己の第三債務者に対する債権を債権者に譲渡し対抗要件を備えれば、債権者が第三債務者から弁済を受けなくても、債務は消滅する。
債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。
- 誤り。代物弁済は、当事者同士の申入れと承諾によって成立する有償契約です。有償契約には売買の規定が準用されるので、弁済者Aは引き渡した目的物について契約不適合責任を負うことになります(民法559条)。
この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
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