所有権・共有・占有権・用益物権(全34問中33問目)
No.33
A所有の甲地は他の土地に囲まれて公道に通じない土地で、Aが所有していない回りの土地を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。平成13年試験 問3
- Aは、甲地を囲んでいる他の土地の所有者に代償を支払えば、自己の意思のみによって通行の場所及び方法を定め、甲地を囲んでいる他の土地に道路を開設することができる。
- Bが、Aから甲地を譲り受けた場合には、Bは、所有権移転の登記を完了しないと、甲地を囲んでいる他の土地に通路を開設することができない。
- 甲地が、A及びCの共有地の分割によって他の土地に囲まれて公道に通じない土地となったときには、Aは、Cが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。
- 甲地が、D所有の土地を分筆してAに売却した結果、他の土地に囲まれて公道に通じない土地になった場合で、Dが、甲地の譲渡後、その残余地である乙地をEに売却したときには、Aは乙地に通路を開設することができない。
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正解 3
問題難易度
肢113.2%
肢224.2%
肢347.2%
肢415.4%
肢224.2%
肢347.2%
肢415.4%
分野
科目:1 - 権利関係細目:5 - 所有権・共有・占有権・用益物権
解説
- 誤り。甲地を囲んでいる他の土地(囲繞地)に開設する道路は、通行に必要かつ最も損害の少ない通行の場所及び方法を選ばなければなりません(民法211条)。代償を支払ったとしても通行者(A)が自己の意思のみで自由に通行場所を決めることはできません。
前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
- 誤り。他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有権を取得した場合、登記がなくても、その土地を囲んでいる他の土地の所有者等に対して公道に出るまでの通行権を主張することが可能です(最判昭46.3.10)。よって、「登記を完了しないと…開設できない」とする本肢は誤りです。
袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を経由していなくても、囲繞地の所有者ないし利用権者に対して、囲繞地通行権を主張することができる。
- [正しい]。分割によって公道に通じない土地が生じた場合、その土地の所有者は、他の分割者の所有する土地(分割後の残余地)にのみ道路を開設することができます(民法213条1項)。
分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
- 誤り。土地の一部を売却したことにより他の土地に囲まれて公道に通じない土地が生じた場合も、肢3と同様の考えで、分筆前に一体となっていた土地にのみ通路を開設することができます(民法213条2項)。判例では、残余地の所有者が変わった場合でも通行権を主張することができるとしています(最判平2.11.20)。よって、Aは乙地に通路を開設することができます。
前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。
民法二一三条の規定する囲繞地通行権は、通行の対象となる土地に特定承継が生じた場合にも消滅しない。
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