担保物権(全31問中26問目)
No.26
Aは、Bから建物を賃借し、Bに3,000万円の敷金を預託した。その後、Aは、Bの承諾を得て、この敷金返還請求権につき、Cからの借入金債務を担保するために、Cのために適法に質権を設定した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。平成14年試験 問5
- Cは、Bの承諾が書面によるものであれば、確定日付を得ていなくても、この質権設定を、B以外の第三者に対しても対抗することができる。
- CのAに対する利息請求権は、常に満期となった最後の2年分についてのみ、この質権の被担保債権となる。
- CのAに対する債権の弁済期の前に、この敷金返還請求権の弁済期が到来した場合は、Cは、Bに対し、当該敷金を供託するよう請求できる。
- CのAに対する債権の弁済期が到来した場合、Cは、Bに対し、Bがこの質権設定を承諾したことを根拠に、この敷金返還請求権の弁済期の前に、当該敷金を直ちにCに交付するよう請求できる。
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正解 3
問題難易度
肢113.9%
肢216.0%
肢346.4%
肢423.7%
肢216.0%
肢346.4%
肢423.7%
分野
科目:1 - 権利関係細目:6 - 担保物権
解説
- 誤り。債権を目的とする質権設定を第三者に対抗するには、債権譲渡と同様に確定日付のある証書による通知または承諾がなければなりません(民法364条民法467条2項)。よって、書面で確定日付を得ていなければ、Cは質権設定を第三者に対抗することはできません。
債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。
前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
- 誤り。抵当権では、後順位者がいる場合、満期となった(弁済期の経過後)最後の2年分までしか利息を請求できませんが、質権のうち動産質、権利質にはこのような制限がありません(民法346条)※。本肢は、敷金返還請求権を目的とする質権、すなわち権利質ですから、最後2年に制限されずそれ以前の利息も請求することができます。
※不動産質は特約がない限り利息を請求できず、また抵当権の規定が準用されるので請求できる利息も最後2年に制限されます。質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
- [正しい]。本問では借主Aの借入金債務を担保するために、敷金返還請求権に質権を設定しています。敷金返還請求権の弁済期が先に到来した場合、借入金債務の弁済期が到来していないCは質権による直接取り立てができません。一方、貸主Bとしては借主Aに弁済しなければ債務不履行になってしまいますが、質権が設定されているのでBに弁済してよいかわかりません。このように、担保する債務の弁済期よりも先に、質権設定された金銭債権の弁済期が到来した場合、質権者(C)は第三債務者(B)に当該金銭を供託するように請求できます(民法366条3項)。
前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
- 誤り。質権者Cは債権である敷金を第三債務者であるBから直接取り立てることが可能です。ただし、取り立ては弁済期が到来した以降にしなければなりません(民法366条1項)。
質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。
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