家族法(全31問中25問目)
No.25
成年Aには将来相続人となるB及びC(いずれも法定相続分は2分の1)がいる。Aが所有している甲土地の処分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。平成18年試験 問12
- Aが精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況になった場合、B及びCはAの法定代理人となり甲土地を第三者に売却することができる。
- Aが「相続財産全部をBに相続させる」旨の有効な遺言をして死亡した場合、BがAの配偶者でCがAの子であるときはCには相続財産の4分の1の遺留分があるのに対し、B及びCがAの兄弟であるときはCには遺留分がない。
- Aが「甲土地全部をBに相続させる」旨の有効な遺言をして死亡し、甲土地以外の相続財産についての遺産分割協議の成立前にBがCの同意なく甲土地を第三者Dに売却した場合、特設の事情がない限り、CはBD間の売買契約を無権代理行為に準じて取り消すことができる。
- Aが遺言なく死亡し、B及びCの協議により甲土地をBが取得する旨の遺産分割協議を有効に成立させた場合には、後になってB及びCの合意があっても、甲土地をCが取得する旨の遺産分割協議を成立させることはできない。
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正解 2
問題難易度
肢114.0%
肢260.3%
肢315.6%
肢410.1%
肢260.3%
肢315.6%
肢410.1%
分野
科目:1 - 権利関係細目:13 - 家族法
解説
- 誤り。法定代理人となるためには家庭裁判所の後見審判が必要となります(民法7条民法8条)。後見審判の手続きを経なければ法定代理人とならないので、B及びCはAを代理して甲土地を売却することはできません。
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。
未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。(H26-9-3) - [正しい]。遺留分を有するのは被相続人の配偶者・直系卑属(子や孫)・直系尊属に限られます。よって、兄弟姉妹は遺留分を有しません(民法1042条1項)。
CがAの子である場合は、遺留分全体が2分の1、法定相続分が2分の1ですから遺留分は「1/2×1/2=1/4」となります。兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合、当該相続人には遺留分がない。(R4-2-4) - 誤り。遺言は、被相続人の死亡時に効力を生じます(民法985条)。特定の者に相続させる旨の遺言があった場合には、その遺産の承継は被相続人の死亡時となります(最判平3.4.19)。甲土地を承継したBは遺産の分割を待たず第三者に売却可能です。遺産の分割によって、第三者の利益を害することはできないので、Cは売買契約を取り消すことはできません(民法909条)。
遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合には、当該遺言において相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される。
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
- 誤り。一旦有効に成立した遺産分割協議であっても、相続人全員が合意し解除の上で、再度遺産分割協議をすることができます(最判平2.9.27)。
共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて分割協議を成立させることができる。
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