条文問題・その他(全9問中2問目)
No.2
従来の住所又は居所を去った者(以下この問において「不在者」という。)の財産の管理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「管理人」とは、不在者の財産の管理人をいうものとする。令和5年試験 問5
- 不在者が管理人を置かなかったときは、当該不在者の生死が7年間明らかでない場合に限り、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
- 不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官から請求があったとしても管理人を改任することはできない。
- 家庭裁判所により選任された管理人は、不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対して控訴を提起するには、家庭裁判所の許可が必要である。
- 家庭裁判所により選任された管理人は、保存行為として不在者の自宅を修理することができるほか、家庭裁判所の許可を得てこれを売却することができる。
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正解 4
問題難易度
肢120.1%
肢28.7%
肢321.9%
肢449.3%
肢28.7%
肢321.9%
肢449.3%
分野
科目:1 - 権利関係細目:12 - 条文問題・その他
解説
- 誤り。失踪宣告と異なり、7年を経過している必要はありません(民法25条1項)。
「不在者」とは、財産をほったらかしで、長い間住所や居所に帰ってこない人です(生死不明の者も含む)。土地、建物、動産などを管理する人がいないと、不在者本人や不在者の財産に利害関係を有する第三者が損害を被る可能性があるので、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、財産の管理に必要な処分(主に財産の管理人の選任)を命じることができます。従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
- 誤り。家庭裁判所が財産の管理人を選任・改任することができるのは、次の3つのケースです。
- 不在者が財産の管理人を置かなかったとき
- 不在者が財産の管理人を置いた場合において、財産の管理人の権限が消滅したとき
- 不在者が財産の管理人を置いた場合において、不在者の生死が明らかでないとき
不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。
- 誤り。家庭裁判所により選任された管理人は、不在者の財産について保存行為及び性質を変えない範囲内で利用・改良をする権限を有します。建物を収去して土地を明渡す請求を認める判決に対して控訴することは、不在者の財産の現状を維持するための行為として保存行為に該当するため、財産の管理人は、家庭裁判所の許可がなくても控訴することができます(最判昭47.9.1)。
家庭裁判所が選任した不在者財産管理人は、民法二八条所定の家庭裁判所の許可を得ることなしに、不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対し控訴を提起し、その控訴を不適法として却下した第二審判決に対し上告を提起する権限を有する。
- [正しい]。家庭裁判所により選任された管理人は、不在者の財産について保存行為及び性質を変えない範囲内で利用・改良をする権限を有しますが、それを超える行為をする場合には、家庭裁判所の許可が必要です(民法28条民法102条)。したがって、保存行為は自身の権限で行えるものの、処分行為である売却には家庭裁判所の許可が必要となります。
管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
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