債権総則(全37問中16問目)
No.16
次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。(判決文)
期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである。
平成25年試験 問7
- 保証人が期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のために保証契約を締結した場合は、賃貸借契約の更新の際に賃貸人から保証意思の確認がなされていなくても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がない限り、更新後の賃借人の債務について保証する旨を合意したものと解される。
- 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う趣旨で合意した場合には、賃借人の未払賃料が1年分に及んだとしても、賃貸人が保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる事情がなければ、保証人は当該金額の支払義務を負う。
- 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う場合、更新後の未払賃料について保証人の責任は及ぶものの、更新後に賃借人が賃借している建物を故意又は過失によって損傷させた場合の損害賠償債務には保証人の責任は及ばない。
- 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う旨の合意をしたものと解される場合であって、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められるときには、保証人は更新後の賃借人の債務について保証の責任を負わない。
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正解 3
問題難易度
肢18.4%
肢28.0%
肢368.3%
肢415.3%
肢28.0%
肢368.3%
肢415.3%
分野
科目:1 - 権利関係細目:7 - 債権総則
解説
本判例(最判平9.11.13)のポイントは次のとおりです。
参考URL: 最判平9.11.13
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63043
- 期間の定めのある建物の賃貸借について、連帯保証人となっていた
- 建物の賃貸借契約の更新の時に、保証責任の更新についての定めはなかった
- このような場合でも、特段の事情や信義則に反する事情がない限り、保証人は更新後の建物の賃貸借から生じる債務についても保証責任を負う
- 正しい。建物の普通賃貸借契約は継続的な契約関係であり、保証人となる者もこれを当然に予測できるはずです。このため、更新後の賃貸借についての保証意思が確認されていなくても、特段の事情のない限り、更新後の賃貸借から生ずる債務についても保証の責めを負う趣旨で保証契約をしたものと解されます。
- 正しい。判例では、賃料未払いの状態が継続しているにもかかわらず、保証人に連絡せず、契約を更新しているような場合などは、信義則に反するとして保証義務が否定されることがあり得るとしています。本肢では、賃料未払いが1年に及んでいますが、信義則に反すると認められる事情がないのであれば、保証義務は否定されず、したがって保証人は保証義務を履行する必要があります。
- [誤り]。建物の賃貸借契約の保証人となる場合、通常は家賃滞納のみならず、原状回復や損害賠償など賃貸借契約から生じる賃借人の一切の債務について保証が及びます。したがって、賃借人の損害賠償債務についても保証の責任があります。
- 正しい。更新後の保証義務を免れることができるのは、特段の事情がある場合、信義則に反する事情がある場合の2つと判示されています。本肢のように、保証債務を履行することが信義則に反すると認められるときは、保証人は更新後の賃借人の債務について保証の責任を負いません。
参考URL: 最判平9.11.13
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63043
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