債権総則(全37問中14問目)

ご注意ください。
法令改正により、この問題の記述は現行の内容と異なっている可能性があります。

No.14

債権譲渡に関する次の1から4までの記述のうち、下記判決文によれば、正しいものはどれか。
(判決文)
民法は、原則として債権の譲渡性を認め(民法第466条第1項)、当事者が反対の意思を表示した場合にはこれを認めない旨定めている(同条第2項本文)ところ、債権の譲渡性を否定する意思を表示した譲渡禁止の特約は、債務者の利益を保護するために付されるものと解される。そうすると、譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は、同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り、その無効を主張することは許されないと解するのが相当である。
平成26年試験 問5
  1. 債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるときに限り、債務者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
  2. 債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債権者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
  3. 債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許される。
  4. 債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債権譲渡禁止の特約は債務者の利益を保護するために付されるものであるので、債権者はいかなるときも当該譲渡が無効であることを主張することは許されない。

正解 3

問題難易度
肢19.2%
肢216.9%
肢352.4%
肢421.5%

解説

民法改正により、譲渡禁止特約が付されている債権でも譲渡は有効となったので問題不成立。本解説は試験実施時の法令に基づくものですのでご注意ください。
判例の要点としては、譲渡禁止特約が付されている債権を第三者に譲渡した債権者は、債務者に譲渡無効の意思がない限り、その譲渡の無効を主張することができないということです。
  1. 誤り。民法の規定は「債務者の利益を保護するために付されるもの」であるため、債権者に譲渡の無効を主張する意思がある・ないにかかわらず、債務者は譲渡の無効を主張することができます。
  2. 誤り。譲渡の無効を主張できるのは、「債務者」に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるときと説明されています。
  3. [正しい]。債権譲渡禁止特約が付されている債権が債権者から第三者に対して譲渡された場合、債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであれば、譲渡した債権者が当該譲渡は無効である旨の主張をすることは許されます。
  4. 誤り。いかなる時も主張できないわけではなりません。債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかな場合などは主張することができます。
したがって正しい記述は[3]です。