37条書面(全37問中14問目)

No.14

宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、書面の交付には、契約の各当事者の承諾を得て行う電磁的方法による提供を含むものとする。
  1. Aは、その媒介により建築工事完了前の建物の売買契約を成立させ、当該建物を特定するために必要な表示について37条書面で交付する際、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書の交付により行った。
  2. Aが自ら貸主として宅地の定期賃貸借契約を締結した場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、借主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。
  3. 土地付建物の売主Aは、買主が金融機関から住宅ローンの承認を得られなかったときは契約を無条件で解除できるという取決めをしたが、自ら住宅ローンのあっせんをする予定がなかったので、37条書面にその取決めの内容を記載しなかった。
  4. Aがその媒介により契約を成立させた場合において、契約の解除に関する定めがあるときは、当該契約が売買、貸借のいずれに係るものであるかを問わず、37条書面にその内容を記載しなければならない。
令和元年試験 問36
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 2

問題難易度
肢19.8%
肢255.8%
肢331.9%
肢42.5%

解説

  1. 正しい。37条書面には、当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示を記載する必要があります(宅建業法37条1項2号)。この記載は35条書面で使用したものと同じものを使用しても問題ありません。
    当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示
    A社は、建築工事完了前の建物の売買を媒介し、当該売買契約を成立させた。この際、37条書面に記載する当該建物を特定するために必要な表示については、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書があったため、当該図書の交付により行った。H24-31-3
  2. 誤り。自ら貸借の当事者となっているため宅建業法の適用がありません。したがって、37条書面の交付は不要です。
  3. 誤り。代金等に関して金銭の貸借に関する定めがある場合、そのあっせんが成立しないときの措置は37条書面の記載事項です(宅建業法37条1項9号)。さらに契約解除に関する定めがある場合も、その内容を37条書面に記載しなければなりません。本肢のように、宅地建物取引業者自らあっせんしないという理由から記載しないことは法令に違反します。
    代金又は交換差金についての金銭の貸借のあつせんに関する定めがある場合においては、当該あつせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置
    代金又は交換差金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがない場合、定めがない旨を37条書面に記載しなければならない。R2⑫-37-2
    Aが自ら売主として宅地の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37条書面に記載する必要はない。R2⑩-33-4
  4. 正しい。契約の解除に関する定めがあるときは、その内容は当該契約が売買・交換・貸借のいずれに関するものであるかを問わず、37条書面の記載事項です(宅建業法37条1項7号)。
    契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
    Aは、媒介により宅地の売買契約を成立させた場合において、契約の解除に関する定めがあるにもかかわらず、37条書面にその内容を記載しなかった。H29-38-3
    Aが売主としてCとの間で売買契約を成立させた場合(Cは自宅を売却して購入代金に充てる予定である。)、AC間の売買契約に「Cは、自宅を一定の金額以上で売却できなかった場合、本件売買契約を無条件で解除できる」旨の定めがあるときは、Aは、37条書面にその内容を記載しなければならない。H26-42-ウ
    土地付建物の売買契約において、買主が金融機関から住宅ローンの承認を得られなかったときは契約を無条件で解除できるという取り決めがある場合、当該売買の媒介を行う宅地建物取引業者は、自ら住宅ローンのあっせんをする予定がなくても、37条書面にその取り決めの内容を記載する必要がある。H22-34-3
    宅地建物取引業者が、その媒介により契約を成立させた場合において、契約の解除に関する定めがあるときは、当該契約が売買、貸借のいずれに係るものであるかを問わず、37条書面にその内容を記載しなければならない。H21-35-4
したがって正しいものは「二つ」です。