35条書面(全61問中43問目)

No.43

宅地建物取引業者Aが行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
平成21年試験 問33
  1. 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律第12条第1項の規定に基づく歴史的風致形成建造物であるときは、Aは、その増築に際し市町村長への届出が必要である旨を説明しなければならない。
  2. 建物の売買を行う場合、当該建物について石綿の使用の有無の調査の結果が記録されていないときは、Aは、自ら石綿の使用の有無の調査を行った上で、その結果の内容を説明しなければならない。
  3. 建物の貸借の媒介を行う場合、当該貸借の契約が借地借家法第38条第1項の規定に基づく定期建物賃貸借契約であるときは、Aは、その旨を説明しなければならない。
  4. 建物の貸借の媒介を行う場合、Aは、当該貸借に係る契約の終了時において精算することとされている敷金の精算に関する事項について、説明しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢18.4%
肢281.4%
肢36.2%
肢44.0%

解説

  1. 正しい。「歴史的風致形成建造物」とは、重要無形文化財や重要無形民俗文化財のために使われている建造物や歴史上価値の高い建造物のことで、市町村長が指定します。歴史的風致形成建造物の増築、改築、移転または除却、ならびに歴史的風致維持向上地区計画の区域内において土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築等をしようとする者は、原則としてその行為に着手する日の30日前までに市町村長に所定事項を届け出なければなりません。
    建物の売買・交換において、取引対象が歴史的風致形成建造物であるの指定を受けている場合には、法令上の制限の1つとして上記の制限の内容を説明しなくてはなりません(宅建業法令3条1項12号の5)。
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    地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律第12条第1項により指定された歴史的風致形成建造物である建物の売買の媒介を行う場合、その増築をするときは市町村長への届出が必要である旨を説明しなくてもよい。R2⑫-42-1
  2. [誤り]。建物の売買・交換においては、石綿の使用有無について調査がされている場合はその内容を説明する必要があります。ただし、調査を行ってない場合や記録がない場合には新たに調査を行うことまでは求められていません(宅建業法規則16条の4の3第3号)
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    建物の売買又は貸借の媒介を行う場合、当該建物が津波防災地域づくりに関する法律第53条第1項により指定された津波災害警戒区域内にあるときは、その旨を、売買の場合は説明しなければならないが、貸借の場合は説明しなくてよい。R1-39-4
    宅地建物取引業者は、重要事項説明において、取引の対象となる宅地又は建物が、津波防災地域づくりに関する法律の規定により指定された津波災害警戒区域内にあるときは、その旨を説明しなければならない。H25-30-4
    建物の貸借の媒介において、当該建物について石綿が使用されていない旨の調査結果が記録されているときは、その旨を借主に説明しなくてもよい。H19-35-1
  3. 正しい。建物賃借においては、当該賃貸借が定期建物賃貸借契約であればその旨を説明しなければいけません(宅建業法規則16条の4の3第8号)。
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    定期建物賃貸借を媒介する場合に、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明において、期間の定めがない旨の説明を行うことH13-34-イ
  4. 正しい。建物賃借においては、契約終了時において精算することとされている金銭(敷金等)がある場合には、その精算に関する事項について説明しなければいけません(宅建業法規則16条の4の3第11号)。
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    宅地の貸借の媒介を行う場合における、「敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項」R3⑩-36-4
    貸借の媒介を行う場合、敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項を説明しなければならない。R2⑩-44-2
    敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項H18-33-4
したがって誤っている記述は[2]です。