営業保証金(全23問中19問目)

No.19

宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
平成17年試験 問33
  1. Aは、甲県の区域内に新たに二つの支店を設け宅地建物取引業を営もうとする場合、額面金額1,000万円の地方債証券を供託して営業保証金に充てれば足りる。
  2. 家主Bは、居住用建物の賃貸の管理委託契約をAと締結していたが、Aが借主から収受した家賃を約束期日が過ぎてもBに支払わなかった。この場合、Bは、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。
  3. 印刷業者Cは、Aが行う宅地建物の売買に関する広告の印刷依頼を受け、印刷物を作成し納品したが、AがCに対しその代金を支払わなかった。この場合、Cは、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。
  4. Aは、宅地建物取引業者ではない買主Dに対し、土地付建物の売買契約を締結する前に、営業保証金を供託した主たる事務所のもよりの供託所及びその所在地について説明するようにしなければならない。

正解 4

問題難易度
肢19.5%
肢210.4%
肢36.9%
肢473.2%

解説

  1. 誤り。支店1つにつき500万円の営業保証金が必要となります。地方債証券は額面の90%とみなされるので、1,000万円の地方債証券では足りません(宅建業法規則15条1項)。
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    地方債証券又は政府がその債務について保証契約をした債券については、その額面金額の百分の九十
  2. 誤り。営業保証金からその債権の弁済を受けることができるのは、宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅建業者を除く)です(宅建業法27条1項)。賃貸の管理委託契約は宅地建物取引業に関する取引ではないので、Bは営業保証金から弁済を受けることはできません。
    宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
  3. 誤り。広告の印刷依頼をすることは宅地建物取引業に関する取引には該当しません。よって、営業保証金からその債権の弁済を受けることはできません(宅建業法27条1項)。
  4. [正しい]。宅地建物取引業者は、売買・交換・貸借の契約を締結する前に、営業保証金を供託しているときは供託所の名称と所在地、保証協会の社員であるときはその旨と保証協会及び供託所の名称・所在地について相手方(宅建業者を除く)に説明しなくてはなりません(宅建業法35条の2)。
    なお供託所等の説明は重要事項説明とは別なので、宅地建物取引士が説明しなくても、書面の交付がなくても(口頭でも)OKです。
    宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方等(宅地建物取引業者に該当する者を除く。)に対して、当該売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、当該宅地建物取引業者が第六十四条の二第一項の規定により指定を受けた一般社団法人の社員でないときは第一号に掲げる事項について、当該宅地建物取引業者が同項の規定により指定を受けた一般社団法人の社員であるときは、第六十四条の八第一項の規定により国土交通大臣の指定する弁済業務開始日前においては第一号及び第二号に掲げる事項について、当該弁済業務開始日以後においては第二号に掲げる事項について説明をするようにしなければならない。
したがって正しい記述は[4]です。