地価公示法(全14問中2問目)

No.2

地価公示法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和3年12月試験 問25
  1. 地価公示法の目的は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与することである。
  2. 不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格と実際の取引価格を規準としなければならない。
  3. 不動産鑑定士は、土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案しなければならない。
  4. 関係市町村の長は、土地鑑定委員会が公示した事項のうち、当該市町村が属する都道府県に存する標準地に係る部分を記載した書面等を、当該市町村の事務所において一般の閲覧に供しなければならない。

正解 2

問題難易度
肢113.3%
肢259.0%
肢312.6%
肢415.1%

解説

  1. 正しい。地価公示法は、土地鑑定委員会が毎年1回標準地の正常な価格を公示し、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格算定の規準とされ、また、国土利用計画法に基づく土地取引の規制における土地価格算定の規準とされる等により、適正な地価の形成に寄与することを目的としています(地価公示法1条)。
    この法律は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もつて適正な地価の形成に寄与することを目的とする。
    地価公示法の目的は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その周辺の土地の取引価格に関する情報を公示することにより、適正な地価の形成に寄与することである。H25-25-1
  2. [誤り]。規準としなければならないのは実際の取引価格ではなく、公示価格なので誤りです。
    不動産鑑定士が公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準としなければなりません(地価公示法8条)。
    不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格(第二条第二項に規定する正常な価格をいう。)を求めるときは、第六条の規定により公示された標準地の価格(以下「公示価格」という。)を規準としなければならない。
    公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準とする必要があり、その際には、当該土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる1又は2以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該土地の価格との間に均衡を保たせる必要がある。R4-25-3
    不動産鑑定士は、都市計画区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示価格と実際の取引価格のうちいずれか適切なものを規準としなければならない。H15-29-3
  3. 正しい。不動産鑑定士が標準地の鑑定評価を行う際は、取引事例比較法、収益還元法及び原価法の3手法により求められる価格を勘案して鑑定評価を行うものとされています。条文中、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格が「取引事例比較法」、近傍類地の地代等から算定される推定の価格が「収益還元法」、同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額が「原価法」に対応しています(地価公示法4条)。
    不動産鑑定士は、第二条第一項の規定により標準地の鑑定評価を行うにあたつては、国土交通省令で定めるところにより、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案してこれを行わなければならない。
    不動産鑑定士は、土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格を基本とし、必要に応じて、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案しなければならない。H26-25-4
    不動産鑑定士は、土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格又は同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額のいずれかを勘案してこれを行わなければならない。H25-25-4
    標準地の鑑定評価は、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案して行われる。H21-25-2
    標準地の鑑定評価は、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案して行わなければならない。H18-29-3
    標準地の鑑定評価は、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案して行われる。H14-29-4
    標準地の鑑定評価は、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案して行われる。H12-29-3
  4. 正しい。地価公示が行われると、公示事項のうち当該市区町村が属する都道府県に存する標準地の部分を記載した書面と当該標準地の所在を表示する図面が、土地鑑定委員会から関係市区町村長に対し送付されます。関係市区町村長は、閲覧の場所及び閲覧に関する規程を定めてこれを告示し、送付を受けた日から3年間上記の書面及び図面を一般の閲覧に供します(地価公示法7条1項・2項地価公示法令1条2項)。
    土地鑑定委員会は、前条の規定による公示をしたときは、速やかに、関係市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、当該市の区又は総合区。次項において同じ。)の長に対して、公示した事項のうち当該市町村が属する都道府県に存する標準地に係る部分を記載した書面及び当該標準地の所在を表示する図面を送付しなければならない。
    2 関係市町村の長は、政令で定めるところにより、前項の図書を当該市町村の事務所において一般の閲覧に供しなければならない。
    法第七条第二項の規定により図書を一般の閲覧に供すべき期間は、当該図書の送付を受けた日から三年とする。
    都道府県知事は、土地鑑定委員会が公示した事項のうち、当該都道府県に存する標準地に係る部分を記載した書面及び当該標準地の所在を表示する図面を、当該都道府県の事務所において一般の閲覧に供しなければならない。H12-29-4
したがって誤っている記述は[2]です。