所得税(全12問中3問目)

No.3

所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成29年試験 問23
  1. 個人が台風により主として保養の用に供する目的で所有する別荘について受けた損失の金額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く。)は、その損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除される。
  2. 建物の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、不動産所得として課税される。
  3. 譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいうので、不動産業者である個人が営利を目的として継続的に行っている土地の譲渡による所得は、譲渡所得として課税される。
  4. 個人が相続(限定承認に係るものを除く。)により取得した譲渡所得の基因となる資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算については、その資産をその相続の時における価額に相当する金額により取得したものとして計算される。

正解 1

問題難易度
肢153.0%
肢215.8%
肢311.2%
肢420.0%

解説

  1. [正しい]。個人が、災害・盗難・横領により生活に通常必要でない資産について損失を受けた場合、その損失額は、その損失を受けた日の属する年分またはその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除することができます(所得税法62条)。
  2. 誤り。借地権設定の対価として支払いを受ける権利金の額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、譲渡所得として課税されます。不動産所得ではありません(所得税法令79条1項1号)。
    建物の全部の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額が、その土地の価額の10分の5に相当する金額を超えるときは、不動産所得として課税される。R3⑩-23-3
    建物等の所有を目的とする土地の賃借権の設定の対価として支払を受ける権利金の金額がその土地の価額の5/10に相当する金額を超える場合には、譲渡所得として課税される。H17-26-2
  3. 誤り。棚卸資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡は譲渡所得に含まれません(所得税法33条2項1号)。本肢の個人不動産業者のように、他者への販売を目的として所有している土地は棚卸資産として扱われるので、譲渡所得ではなく事業所得として課税されます。
    譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいうので、個人の宅地建物取引業者が販売の目的で所有している土地を譲渡した場合には、譲渡所得として課税される。H17-26-1
  4. 誤り。譲渡所得は「譲渡収入-(取得費+譲渡費用)」で計算します。個人が贈与・相続(限定承認を除く)により資産を取得した場合、前所有者の取得費を引き継ぎます。相続時の時価が取得費になるわけではありません(所得税法60条1項1号)。
したがって正しい記述は[1]です。