土地区画整理法(全26問中9問目)

No.9

土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「組合」とは、土地区画整理組合をいう。
平成29年試験 問21
  1. 組合は、事業の完成により解散しようとする場合においては、都道府県知事の認可を受けなければならない。
  2. 施行地区内の宅地について組合員の有する所有権の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権の全部又は一部について組合に対して有する権利義務は、その承継した者に移転する。
  3. 組合を設立しようとする者は、事業計画の決定に先立って組合を設立する必要があると認める場合においては、7人以上共同して、定款及び事業基本方針を定め、その組合の設立について都道府県知事の認可を受けることができる。
  4. 組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有する者は、その組合の組合員とはならない。

正解 4

問題難易度
肢114.0%
肢24.6%
肢38.1%
肢473.3%

解説

  1. 正しい。組合が解散しようとするときは、合併または事業の引続きによる場合を除き、都道府県知事の認可を受けなければなりません(土地区画整理法45条2項)。事由として合併と事業の引継ぎが除かれているのは、合併や新たな施行者については別に認可を受ける法の仕組みがあるためです。なお、事業を廃止しようとするときに都道府県知事の認可を受けなければならないのは、個人施行者や区画整理会社でも同様です。
    組合は、前項第二号から第四号までの一に掲げる事由により解散しようとする場合においては、その解散について都道府県知事の認可を受けなければならない。この場合において、組合がその申請をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、施行地区を管轄する市町村長を経由して行わなければならない。
    土地区画整理組合は、総会の議決により解散しようとする場合において、その解散について、認可権者の認可を受けなければならない。H24-21-1
  2. 正しい。施行地区内の宅地の所有権の全部又は一部が組合員から第三者に承継された場合、その宅地の部分について組合員が組合に対して有していた権利義務(行政上の処分を含む)は、宅地の所有権を取得した者に移転します(土地区画整理法26条1項)。
    施行地区内の宅地について組合員の有する所有権又は借地権の全部又は一部を承継した者がある場合においては、その組合員がその所有権又は借地権の全部又は一部について組合に対して有する権利義務は、その承継した者に移転する。
    組合施行の土地区画整理事業において、施行地区内の宅地について所有権を有する組合員から当該所有権の一部のみを承継した者は、当該組合の組合員とはならない。H18-24-1
    組合施行の土地区画整理事業において、換地処分前に、施行地区内の宅地について所有権を有する組合員から当該所有権を譲り受けた者は、当該組合の総会において賦課金徴収の議決があったときは、賦課金の納付義務を負う。H18-24-2
  3. 正しい。組合の設立は、7人以上が共同して定款と事業計画を定めた上で、都道府県知事の認可を受けるのが原則です。しかし、事業計画を作る前に組合を設立する必要があるときは、7人以上が共同して定款と事業基本方針を定めることで、設立について都道府県知事の認可を受けることができます。その後、事業基本方針に従って事業計画を定めたときに再び都道府県知事の認可を受ける運びとなります(土地区画整理法14条2項)。
    なお、設立のために必要な人数が7人以上となっている理由は、組合では理事5人以上、監事2人以上を組合員の中から選ぶことになっていて、この基準を満たすための最低人数が7人だからです。
    組合を設立しようとする者は、事業計画の決定に先立つて組合を設立する必要があると認める場合においては、前項の規定にかかわらず、七人以上共同して、定款及び事業基本方針を定め、その組合の設立について都道府県知事の認可を受けることができる。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
    土地区画整理組合を設立しようとする者は、事業計画の決定に先立って組合を設立する必要があると認める場合においては、5人以上共同して、定款及び事業基本方針を定め、その組合の設立について都道府県知事の認可を受けることができる。H19-24-1
  4. [誤り]。組合施行の土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員となります(土地区画整理法25条1項)。事業開始後に宅地に係る所有権や借地権を取得した者についても同様です。
    組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。
    土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有する者は、その土地区画整理組合の組合員とはならない。R3⑫-20-1
    土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。H24-21-4
    組合施行の土地区画整理事業において、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員となるので、当該宅地について事業施工中に組合員から所有権を取得した者は、当該組合の組合員となる。H16-22-4
    土地区画整理組合が成立した場合において、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者はすべて組合員となるが、施行地区内の借家人は組合員とはならない。H13-22-4
したがって誤っている記述は[4]です。