農地法(全26問中5問目)

No.5

農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
令和2年12月試験 問21
  1. 山林を開墾し、農地として耕作している土地であっても、土地登記簿上の地目が山林であれば、法の適用を受ける農地に該当しない。
  2. 親から子に対して、所有するすべての農地を一括して贈与する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。
  3. 耕作を目的として農業者が競売により農地を取得する場合であっても、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
  4. 市街化区域以外の区域に存する4haを超える農地を転用する場合には、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。

正解 3

問題難易度
肢15.2%
肢229.8%
肢357.8%
肢47.2%

解説

  1. 誤り。農地法上の農地であるかどうかは、土地登記簿上の地目ではなく、現況で判断します。よって、現に農地として耕作している土地であれば、法の適用を受ける農地となります(農地法2条1項)。
    この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。
    登記簿の地目が宅地となっている場合には、現況が農地であっても法の規制の対象とはならない。R3⑫-21-3
    雑種地を開墾し耕作している土地でも、登記簿上の地目が雑種地である場合は、法の適用を受ける農地に当たらない。H30-22-4
    雑種地を開墾し、現に畑として耕作されている土地であっても、土地登記簿上の地目が雑種地である限り、法の適用を受ける農地には当たらない。H25-21-2
    現況は農地であるが、土地登記簿上の地目が原野である市街化調整区域内の土地を駐車場にするために取得する場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。H20-24-1
    山林を開墾し現に水田として耕作している土地であっても、土地登記簿上の地目が山林である限り、法の適用を受ける農地には当たらない。H18-25-1
    現況は農地であるが、土地登記簿上の地目が「山林」である土地を住宅建設の目的で取得する場合には、農地法第5条の許可を要しない。H13-23-1
  2. 誤り。相続人が相続(遺産分割や遺贈)により権利を取得する場合には3条許可が不要となりますが、贈与による取得の場合には、通常通り3条許可を受けなければなりません(農地法3条1項12号)。
    自己所有の農地に住宅を建設する資金を借り入れるため、当該農地に抵当権の設定をする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。R3⑫-21-1
    遺産分割によって農地を取得する場合には、法第3条第1項の許可は不要であるが、農業委員会への届出が必要である。R3⑩-21-1
    相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。R2⑩-21-3
    農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。R2⑩-21-4
    金融機関からの資金借入れのために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項の許可が必要である。R1-21-2
    遺産分割により農地を取得することとなった場合、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。H30-22-2
    銀行から500万円を借り入れるために農地に抵当権を設定する場合、法第3条第1項又は第5条第1項の許可を受ける必要がある。H29-15-3
    農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるために、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。H26-21-3
    砂利採取法による認可を受けた砂利採取計画に従って砂利を採取するために農地を一時的に貸し付ける場合には、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。H24-22-4
    相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、遺産の分割により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。H23-22-1
    農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。H22-22-1
    農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受けなければならない。H21-22-2
    建設業者が、農地に復元して返還する条件で、市街化調整区域内の農地を一時的に資材置場として借りる場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要がある。H20-24-2
    農業者が自ら居住している住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合、農地法第3条第1項の許可を受ける必要はない。H17-25-4
    民事調停法による農事調停により農地の所有権を取得する場合には、農地法第3条の許可を受ける必要はない。H16-24-4
    遺産の分割により農地の所有権を取得する場合、農地法第3条の許可を得る必要はない。H15-23-4
    都道府県が、農林水産省令で定める農業振興上の必要性が高いと認められる施設の用に供するために農地を取得する場合には、農地法の許可を受ける必要はない。H12-25-3
  3. [正しい]。原則として、農地の所有権を取得する場合には農地法第3条の許可が必要です。競売による取得についても例外ではなく、通常の取得と同じように3条許可を受ける必要があります。
  4. 誤り。転用する農地の規模にかかわらず、都道府県知事の許可を受けることになります。4ヘクタールを超える農地について農林水産大臣の許可を受ける必要があったのは旧農地法の定めであり、現在は撤廃されています。
したがって正しい記述は[3]です。