建築基準法(全55問中43問目)

No.43

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
平成17年試験 問21
  1. 2階建てで延べ面積が100㎡の鉄骨造の建築物を建築する場合、構造計算は必要としない。
  2. 5階建てで延べ面積が1,000㎡の共同住宅の所有者は、当該共同住宅の敷地、構造及び建築設備について、定期的に一級建築士等に調査させなければならず、調査を担当した一級建築士等は、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
  3. 特定行政庁は、建築基準法施行令第9条に規定する建築基準関係規定である都市計画法第29条に違反した建築物について、当該建築物の所有者に対して、違反を是正するための措置を命ずることができる。
  4. 便所には、採光及び換気のため直接外気に接する窓を設けなければならないが、水洗便所で、これに代わる設備をした場合においては、必ずしも設ける必要はない。

正解 4

問題難易度
肢19.3%
肢29.8%
肢330.1%
肢450.8%

解説

  1. 誤り。鉄骨造の建築物は、建築確認の基準と同じく階数が2以上又は延べ面積200㎡超であれば構造計算が必要となります(建築基準法20条3号建築基準法6条1項2号)。本肢の建築物は「2階建て鉄骨造」なので構造計算を必要とします。
    高さが六十メートル以下の建築物(前号に掲げる建築物を除く。)のうち、第六条第一項第一号又は第二号に掲げる建築物(木造の建築物にあつては、地階を除く階数が三以上であるもの又は延べ面積が三百平方メートルを超えるものに限る。) 次に掲げる基準のいずれかに適合するものであること。
    イ 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。この場合において、その構造方法は、構造耐力上主要な部分ごとに応力度が許容応力度を超えないことを確かめることその他の政令で定める基準に従つた構造計算で、国土交通大臣が定めた方法によるもの又は国土交通大臣の認定を受けたプログラムによるものによつて確かめられる安全性を有すること。
    前号に掲げる建築物を除くほか、二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物
  2. 誤り。報告義務があるのは所有者です。床面積が200㎡超の一定の特殊建築物の所有者(又は管理者)は、当該建築物の敷地、構造及び建築設備について、定期的に一級建築士・二級建築士等に調査させ、その結果を特定行政庁に報告する義務があります(建築基準法12条1項)。
    【補足】
    実務上は、定期報告の調査とともに報告の代理を依頼することが多いですが、本来的に報告義務があるのは所有者です。また、共同住宅は「定期報告を要する建築物等」に該当しますが、具体的に定期報告を要する建物の規模は特定行政庁ごとの指定によります。
  3. 誤り。特定行政庁は、建築基準法令の規定や建築基準法の許可の条件に違反した建築物やその敷地の所有者に対して、違反を是正するための措置を命ずることができます。したがって、都市計画法違反の建築物に対しては命ずることはできません(建築基準法令9条1項)。
    建築確認では、敷地、構造、設備その他法令への適合も確認対象である一方、違反建築物への是正措置は、建築基準法令の規定に違反した物件だけに命令できるという違いがあります。
    特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
  4. [正しい]。水洗便所は、設備により採光及び換気ができるのであれば、直接外気に接する窓は設ける必要はありません。すなわち、照明器具と換気設備があればOKです(建築基準法令28条)。ビルの中や地階にあるトイレなどがその例です。
    便所には、採光及び換気のため直接外気に接する窓を設けなければならない。ただし、水洗便所で、これに代わる設備をした場合においては、この限りでない。
したがって正しい記述は[4]です。