建築基準法(全53問中1問目)

No.1

建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
令和5年試験 問17
  1. 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定し、当該区域内における住居の用に供する建築物の建築を禁止することができる。
  2. 3階建て以上の建築物の避難階以外の階を、床面積の合計が1,500㎡を超える物品販売業の店舗の売場とする場合には、当該階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
  3. 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合、その全部について準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。
  4. 石綿等をあらかじめ添加した建築材料は、石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除き、使用してはならない。

正解 3

問題難易度
肢15.9%
肢25.4%
肢378.9%
肢49.8%

解説

  1. 正しい。災害危険区域は、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域について地方公共団体が定めるもので、その目的は危険な区域における災害防止上必要な建築制限です。災害危険区域の指定により、住宅の建築禁止とその他建築物の建築制限をすることができます(建築基準法39条)。
    地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。
    2 災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、前項の条例で定める。
    地方公共団体が、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定した場合には、災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築は一律に禁止されることとなる。R4-17-4
    地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができ、当該区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは当該条例で定めることとされている。R1-17-2
  2. 正しい。劇場や店舗などの不特定多数の人が利用する施設や、共同住宅や病院などの就寝室がある施設では、災害の際に一方が使えなくても他方を使って避難できるようにするため、階数や床面積に応じて、2以上の直通階段を設ける義務があります。床面積の合計が1,500㎡を超える物品販売業を営む店舗において売場を設ける階は、その階の床面積にかかわらず2以上の直通階段が必要とされています(建築基準法令121条1項2号)。
    建築物の避難階以外の階が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
    物品販売業を営む店舗(床面積の合計が千五百平方メートルを超えるものに限る。第百二十二条第二項、第百二十四条第一項及び第百二十五条第三項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
    4階建ての建築物の避難階以外の階を劇場の用途に供し、当該階に客席を有する場合には、当該階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。R3⑫-17-1
  3. [誤り]。防火地域と準防火地域にわたる建築物の場合、その全部について厳しい方の防火地域の規定が適用されます(建築基準法65条2項)。
    建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定を適用する。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。
    建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について、敷地の属する面積が大きい方の地域内の建築物に関する規定を適用する。R2⑫-17-1
    建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合、建築物が防火地域外で防火壁により区画されているときは、その防火壁外の部分については、準防火地域の規制に適合させればよい。H16-20-4
    建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について準防火地域内の建築物に関する規定が適用される。H13-20-3
  4. 正しい。建築基準法では、建築材料の飛散や発散による衛生上の悪影響を防ぐために、以下の規制をしています。石綿をあらかじめ添加した建築材料は、国土交通大臣が飛散・発散のおそれがないとして指定・認定したもの以外は使用することができません(建築基準法28条の2第2号)。
    1. 建築材料に石綿を添加しないこと
    2. 石綿を添加した建築材料を使用しないこと(飛散・発散のおそれがないものとして国土交通大臣が指定・認定したものを除く)
    3. 居室を有する建築物でホルムアルデヒドクロルピリホスを使用するときは、建築材料と換気設備を一定の技術的基準に適合させること
    石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。
    居室の内装の仕上げには、ホルムアルデヒドを発散させる建築材料を使用することが認められていない。R3⑩-17-1
    居室を有する建築物の建築に際し、飛散又は発散のおそれがある石綿を添加した建築材料を使用するときは、その居室内における衛生上の支障がないようにするため、当該建築物の換気設備を政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない。H19-21-2
    居室を有する建築物は、住宅等の特定の用途に供する場合に限って、その居室内においてホルムアルデヒド及びクロルピリホスの発散による衛生上の支障がないよう、建築材料及び換気設備について一定の技術的基準に適合するものとしなければならない。H16-21-4
したがって誤っている記述は[3]です。