賃貸借契約 (全15問中9問目)

No.9

次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
平成25年試験 問8
  1. 倒壊しそうなA所有の建物や工作物について、Aが倒壊防止の措置をとらないため、Aの隣に住むBがAのために最小限度の緊急措置をとったとしても、Aの承諾がなければ、Bはその費用をAに請求することはできない。
  2. 建物所有を目的とする借地人は、特段の事情がない限り、建物建築時に土地に石垣や擁壁の設置、盛土や杭打ち等の変形加工をするには、必ず賃貸人の承諾を得なければならない。
  3. 建物の賃貸人が必要な修繕義務を履行しない場合、賃借人は目的物の使用収益に関係なく賃料全額の支払を拒絶することができる。
  4. 建物の賃貸人が賃貸物の保存に必要な修繕をする場合、賃借人は修繕工事のため使用収益に支障が生じても、これを拒むことはできない。

正解 4

問題難易度
肢114.1%
肢213.8%
肢36.8%
肢465.3%

解説

  1. 誤り。本肢のように、義務なく他人のために事務の管理を始めたBの行為は事務管理に当たります。よって、Bは緊急措置に要した費用を請求することができます(民法702条1項)。
    管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
  2. 誤り。賃借人は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用収益をしなければなりませんが、建物建築時における土地に石垣や擁壁の設置、盛土や杭打ち等の(常識範囲内の)変形加工をすることは借地人が当然にもつ権利ですので、賃貸人の承諾を得る必要はありません。
  3. 誤り。賃貸人には賃貸物を適正に保つ義務があります(民法606条1項)。この修繕義務が不履行となり、使用収益が妨げられた場合には、その割合に応じた賃料の一部の支払いを拒否できます(大判大10.9.26)。ただし、居住できないほどの損傷でなければ全額拒否はできないとされています(最判昭38.11.28)。
    賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。 ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
    賃貸人の修繕義務が賃料支払期以前に発生したが,これが履行されない場合,目的物が使用収益に適する状態を回復しない間は,その限度で賃借人は賃料支払を拒絶することができる
    賃貸家屋の破損、腐蝕の状況が居住に著しい支障を生ずるほどでなく、また、賃料が地代家賃統制令の統制に服している等原判決判示の事情のもとにおいては(原判決理由参照)、賃借人は賃貸人の賃貸家屋修繕義務の不履行を理由に賃料全部の支払を拒むことができない。
  4. [正しい]。建物の賃貸人が賃貸物の保存に必要な修繕をする場合、賃借人は修繕工事のため使用収益に支障が生じても、これを拒むことはできません(民法606条2項)。
    賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
したがって正しい記述は[4]です。